Lv56 真実の姿 ( i )
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アズライル教皇や高位神官、それから王族や太守がいるのである。
そこには勿論、アヴェル王子やフィオナ王女の姿もあった。そして、ソレス殿下やアーシャさんの姿も。それからよく見ると、不安げにこちらを見ているサナちゃんの姿もあった。ちなみにだが、その隣には美しいラミリアンの女性もいる。多分、この方がラミナス公使であるフェルミーア様なのかもしれない。
まぁそれはさておき、観覧席にいる者達は皆、悲しそうな目で、こちらをジッと見つめているところであった。
(注目の的ってやつだな……でもここからは、ちょっと気を引き締めないとな……)
俺達が中に入ったところで、扉は閉められる。
するとその直後、美しい調べがどこからともなく聞こえてきたのである。
それはオルガンのような優しい音であったが、どこかで聞いたことがあるような旋律であった。
(……悲しさと優しさと美しさがある旋律だな……そういや、日本にいた頃、両親の事で精神的に参っていた時、よく聞いていた癒しのクラシック音楽集に、これと似た音楽があったな。確か……バッハのカンタータ第106番・ソナティーナだったか……あれに似た旋律だ。この場面で弾かれるという事は、もしかすると、この国で使われる葬送曲みたいなモノなのかもしれない……)
音楽が流れ始めたところで、ヴァリアス将軍は俺達に目配せをし、前へと進んでゆく。
俺達はヴァリアス将軍の後に続いて、美しい調べの中を静かに歩き始めた。
俺は歩きながら周囲をチラッと見回した。
観覧席にいる者達は皆、悲しみと憐れみの入り混じったような複雑な表情で、俺達を見ていた。
また、俺達がいるフロアの壁際には、魔導騎士と宮廷魔導師、それから神官が沢山待機しており、こちらに向かい、警戒の眼差しを向けているところであった。
(……上にいる者達とは対照的な目だな……俺達の挙動を監視しているのだから当然か……ン?)
と、その時、見た事ある顔が、俺の視界に入ってきたのである。
なんと、ウォーレンさんとミロン君がそこにいたのだ。
ウォーレンさんとミロン君は悲しい目で俺達を見ていた。
俺はそんな2人に向かい、軽く会釈をした。
向こうも会釈を返してくる。
(ウォーレンさんにはお世話になりっぱなしなのに、騙すような事をしてしまった……生き延びれたら謝んなきゃな……)
その後、程なくして俺達は、目的の祭壇へと辿り着いた。
祭壇の前に着いたところで、俺達の背後にヴァリアス将軍と魔導騎士が回った。多分、逃走防止の措置だろう。
それと同じくして、バッハのような曲も止まった。
重苦しい静寂が辺りに漂い始める。
そこで、アズライル教皇の隣に佇む、赤い神官服を着た高位神官が、声高に告げたのである。
【光の女神イシュラナの慈愛の元に生まれし、
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