Lv56 真実の姿 ( i )
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びしていると、こちらへと向かう複数の足音が聞こえてきた。
程なくして足音は俺達の牢の前で止まる。
多分、兵士達が配給の食事を持ってきたのだろうと思い、俺は鉄格子へと視線を向けた。が、しかし……そこにはなんと、意外な人物の姿があったのである。
ヴァリアス将軍と魔導騎士、それからイシュラナの高位神官が立っていたのだ。
俺は思わず、将軍の名を口にした。
「貴方は……ヴァリアス将軍」
「さて、朝だが、気分は如何だろうか?」
瞑想中のヴァロムさんが、ここで口を開いた。
「……こんな薄暗い牢の中で、気分が良いわけなかろう……ヴァリアス将軍よ」
「これは失敬……ヴァロム様。しかし、今日でそれも終わりでございます。心のご準備はよろしいだろうか?」
「ふん、さぁの」
面白くなさそうにヴァロムさんは返事をした。
俺は今日の予定について訊いてみた。
「ヴァリアス将軍……俺達はいつ頃、大神殿に移送されるのですか?」
「これより、貴殿らは我々の監視下の元、大神殿へと参る予定だ」
「そうですか。という事は、今日は食事はないのですね」
ここで神官が話に入ってきた。
「そなた達は今より、イシュラナに懺悔せねばならぬ身だ。不純物を体内に入れての祈りは、女神様への侮辱に他ならない。祈りは清らかな身で行われるべきもの。理解されたかな……異端者よ」
「ええ。理解しましたよ」
どうやら、飯抜きのようだ。少し残念である。
「さて、では双方とも、そろそろ参ろうか」――
その後、俺とヴァロムさんは、雲一つ無い晴れ空の元、鉄製のコンテナみたいな馬車に乗せられ、イシュラナ大神殿へと移送されたのである。
[V]
俺とヴァロムさんは大神殿へと移送された後、窓が1つもない6畳程度の小部屋に幽閉された。
この部屋は石の壁のみ。出入りする為の鉄の扉が1つあるだけで、他に目に付くモノは何もない。
俺達はその部屋の中で、身体検査をされた後、神官達の手によって、純白の衣を羽織らされた。それは神官服を簡素化したものであった。
神官曰く、清めの衣というモノだそうだ。異端者用の衣だとも言っていた。つまり、死刑囚用の囚人服みたいなモノなのだろう。
そして、それを着せられた後、俺達は暫く間、ここで待機となるのである。
ヴァリアス将軍の話だと、審判の間の準備が整うまでだそうだ。
(……準備ねぇ……恐らく今、審判の間とかいう場所に、高位神官や権力者達の入場が行われているのだろうな。入場する際は、厳重なセキュリティーチェックなんかも行われているに違いない。アーシャ様はアレを持って、無事に入場できただろうか……)
俺はそこで、ヴァロムさんに目を向けた。
ヴァロムさんはここでも大人しく瞑想している。
今、何を考えてい
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