Lv56 真実の姿 ( i )
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルとの戦闘前に、コータローさんが言っていた言葉の一部だ。テンメイがあの事を言っているのならば……それが意味するところは、恐らく……)
漠然とだが、この時、アヴェルは予感していた。
明日はイシュマリア建国以来最大の出来事が起きるかもしれない、と……。
―― 一方その頃 ――
とある薄暗い部屋の中で、密会する2つの人影があった。
1人は窓辺に立って外の景色を眺め、もう1人は、その者に跪いている。つまり、2人は主従の関係であった。
また、2人は共に、黒いローブを深く被る姿をしており、その表情は窺い知れない。不気味な雰囲気が漂う者達であった。
まず跪いている者が先に、言葉を発した。
「申しわけありません……アシュレイア様。アヴェル王子の乱入により、王女があの男達を連れ出す事に失敗したようです。……拷問して鏡の在処を吐かすのは難しいかもしれませぬ。いかがなさいましょう?」
窓辺に立つ人影は、少し間を空け、言葉を発した。
「……投獄の際、あの者達が所持しているモノは、すべて取り上げたのであったな?」
「ハッ、全て取り上げてあります」
「という事は……ラーの鏡は恐らく、他の者が持っているのだろう。当日は、審判の間に入る者達の所持品を厳重に確認しろ。怪しい荷物や装飾品があったら、全て取り上げるのだ」
「王族や太守もですか?」
「ああ、全てだ。それから明日は、異端者達の身体も、もう一度確認をするのだ。何者かがあ奴等に、鏡を手渡しているとも限らんからな」
跪く者は頭を垂れる。
「畏まりました。アシュレイア様の仰せのままに……」
「それと、もう1つ、そなたにお願いしたい事がある」
「ハッ、なんなりと」
窓辺に立つ人影は、跪いてる者に近寄り、一枚の紙を手渡した。
「これは?」
「そこに書かれている者達を今日中に見つけ、拘束するのだ」
「畏まりました」
「では行くがよい」
「ハッ」
跪いていた人影は立ち上がり、この部屋を後にした。
そして、窓辺に佇む人影は、静かにほくそ笑むのであった。
「フフフッ……悪い芽は早めに摘まねばな。明日は絶望してから死ぬがいい、愚か者どもよ」――
[U]
シャリン、シャリンという鈴の音が聞こえてきた。
その音で俺は目を覚ます。それが食事の合図でもあり、起床の合図でもあるからだ。
(朝か……。投獄されて8日経過した。……今日は刑が執行される日だ。とうとうこの日が来たって感じだな……)
俺は欠伸をしながら上半身を起こし、背伸びをする。
そこでヴァロムさんに目を向けた。
すると、相も変わらず、座禅を組んで瞑想を続けているところであった。
(一晩中、よくあの態勢を続けられるな……すごいわ……)
そんな事を考えながら背伸
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ