Lv56 真実の姿 ( i )
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いなくなったのではなく、グスコー神殿管理官が魔物だったりしてな……」
それを聞き、フィオナは少し頬を膨らませた。
「お兄様! 私は真面目な話をしているのですッ。こんな時に冗談を言わないでください」
アヴェルは真剣な眼差しをフィオナに向けた。
「俺は真面目に言っている……。まぁいい。それより、お前に訊きたい事がある……なぜあんな馬鹿な真似をしたんだ?」
「そ、それは……ヴァロム様もコータロー様も、私の命の恩人だからです。あの2人には死んでほしくなかったからです……」
フィオナの頬に一筋の涙が落ちる。
「それはわかった。だが、あれは、お前1人で考えたわけではないだろう。地下牢へと降りてゆく入口には、常に魔導騎士とイシュラナの神官がいる筈なのに、あの時は、なぜか誰もいなかったからな。あまりに不自然だ。フィオナ……そこへ手引きしたのは、一体誰だ?」
「あ、あの計画を考えたのは……レヴァンです」
「レヴァンだと……シャール殿に匹敵する天才魔導師と言われる、あのレヴァンか!?」
フィオナは無言で頷く。
「なんでレヴァンがそんな事を……」
「それは恐らく、私が悩んでいたからだと思います」
「しかしだな、お前とレヴァンはそんなに親しくはないだろ?」
「それが、実は……ピュレナから帰ってきた後、お父様の指示により、レヴァンが私の側近に加わったのです」
「なんだって、父が……」
今の話を聞き、アヴェルの中で、得も言われぬ不安が渦巻き始めた。
「お兄様……ヴァロム様とコータロー様を救うのは、もう無理なのでしょうか……」
「普通に考えれば無理だろう……。だが、俺の知っているコータローさんは、そんな簡単に生きる事を諦める人ではないよ」
フィオナは驚きの表情を浮かべた。
「あの、お兄様……コータロー様とお知り合いなのですか?」
アヴェルはフィオナに近寄り、耳打ちをした。
「あまり大きな声では言えないが……知り合いだ。といっても、ここ最近知り合ったばかりだがな。それはともかく、ココだけの話だが……コータローさんは俺が今まで出会った中で、一番諦めの悪い人だ。俺達が無理だと諦めるような圧倒的不利な状況でも、冷静に物事を見定め、必ず何らかの道を見つけ出す……そういう人だよ、コータローさんは。だから……明日は恐らく……何かが起きるかもしれない……」
「お、お兄様、それはどういう?」
「……」
声を上げるなと言わんばかりに、アヴェルは口元に人差し指を立てた。
それを見たフィオナは、慌てて口元を手で覆った。
アヴェルは続ける。
「今、聞いた話は、誰にも話すんじゃないぞ」
フィオナは無言で頷く。
そして、アヴェルはフィオナに微笑んだのである。
(コータローさんはさっき、テンメイを待つと言っていた。あれは確か、ヴィゴー
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