Lv55 怒涛の羊たちの沈黙
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槍を入れてきた。
「フィオナ様、このような異端者の言う事など、あまり信用しない方が良いですぞ。猊下を侮辱するような発言をした者ですからな」
俺は神官を無視して、フィオナ王女に質問をした。
「あの、フィオナ王女。俺からも1つ訊いていいですか?」
「私でお答えできるものでしたら」
「先程、そちらの近衛騎士の方が、ピュレナで神託を受けたと仰いましたが、あの巡礼地ではそんな事ができるのですか?」
「はい。巡礼地は王位継承の資格を持つ者ならば、神託を受けられるのです。いや……神託を受けなければならないと言った方が正しいでしょうか……」
フィオナ王女はそう言って複雑な表情を見せた。
「神託を受けねばならない? どういうことですか?」
「王位継承の資格を持つ者は定められた巡礼地に行き、半年に1度は神託を受けなければならないのです。建国以来ずっと続いている王家のしきたりです」
「へぇ……なるほどね。という事は、アヴェル王子やアルシェス王子も神託を受けられているのですね?」
「はい。ですが、兄達は別の場所になります」
「別の場所?」
どうやら別々の場所で神託を受けているようだ。
なんか釈然としないが、とりあえず、話を聞こう。
「はい、別の場所です。アヴェルお兄様はヴァルハイムの光の聖堂にて、アルシェスお兄様はラルゴの谷で神託を受けております」
「へぇ……。ちなみに、神託を受ける時というのは、どういう状況でなされるのですか? 密室に入って1人でされるのですかね?」
「密室といえば密室ですが、神託を受ける時は、神授の間という王位継承候補者しか入れない聖域にて行われます」
「王位継承候補者しか入れない聖域ですか……なるほど。では、もう少し訊かせてください。その神授の間でしたか……そこはどんな所でしたか? 神殿のように、イシュラナの女神像とかが置いてあるんですかね?」
フィオナ王女は頭を振る。
「いえ、ありません。そこにはイシュラナの紋章が描かれた石板が置かれているだけです」
「……という事は、その石板の前で祈りを捧げると、神の声が聞こえてくるのですか?」
「いえ、違います。祈りの後、石板に手を触れると、女神の言葉が聞こえてくるのです」
「石板に手を触れると、女神の言葉が聞こえるですって……それは本当ですか?」
と、ここで、横槍が入った。
「オホン……フィオナ様、そろそろお時間でございますぞ」
「もう、時間なのですか……」
「時間?」
俺は首を傾げた。
すると、神官が嫌らしい笑みを浮かべて答えてくれた。
「今まで異端者との面会は禁じていたが、刑の執行日が先日決まったのもあり、ごく限られた者のみ、僅かな時間の面会が許される事になったのだ。これも慈悲深い猊下の計らいによるものよ。感謝するがいい、異端者よ」
俺
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