Lv54 老賢者との再会
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の事を前から知っているかのような、淀みのない動作でしたからね。いやぁ〜、さすがはアズライル猊下でございますな。普通の者ならば、試行錯誤すると思いますから」
アズライル教皇から笑みが消える。
その直後、教皇は手に持っている青い杖を俺に向けたのである。
「よく口の回る男だ。しかし……今の自分の置かれた立場というモノをまるでわかっていない。少々、お仕置きをした方がよさそうですね!」
すると次の瞬間! 杖の水晶球が眩く光り輝き、なぜか知らないが、俺の身体が宙に浮き上がったのである。
「なッ!? グッ……これは……」
見えない何かに持ち上げられているような感じであった。
「少し頭を冷やすがいい、この異端者めがッ!」
教皇は杖を勢いよく十字に振るった。
俺は物凄い勢いで、牢獄の壁に叩きつけられる。
右へ。
「グハッ」
左へ。
「ゴフッ」
天井へ。
「グッ」
そして床へ。
「ウワァァァ!」
宙に十字を描くかのように、俺は石の壁に叩きつけられた。
床に叩きつけられたところで止んだが、そのあまりの衝撃に、俺は立ち上がれなかった。
(……少し馬鹿にし過ぎたか……しかし、なんだ、あの杖は……。グッ……魔導の手を強力にしたような杖だな。クソッ……)
額から血が流れ出る。
どうやら頭に傷を負ったようだ。
骨折はないが、恐らく、打撲は至る箇所にあるだろう。
勝ち誇ったような教皇の声が響き渡る。
「そうそう、そうやって大人しくしていればいいのですよ。最後の時までね。あ、そうそう、言い忘れてましたが、貴方がた異端者の処遇が決まったので、今日は報告に来たのですよ」
ここでヴァロムさんが反応した。
「ほぅ……で、どのような処遇になったのじゃ?」
教皇はそこで神官の1人に視線を向けた。
「説明して差し上げなさい」
指示を受けた神官が前に出て、淡々と話し始めた。
「貴方がた異端者は、今日より5日後の朝……贖罪の丘にて火刑となります。ですがその前に、イシュラナ大神殿・審判の間にて、異端証明がなされてからの執行となりますので、そうお考え下さい。それまでの間、己の過ちを反省し、イシュラナに懺悔を続けるのです。それが異端者である貴方達の贖罪となるのですから」
「え? 俺もその日?」
神官はニヤッと笑みを浮かべた。
「当たり前でしょう。寧ろ、喜んだらどうですか、師と共に贖罪できるのですから」
どうやら俺も、ヴァロムさんと一緒に火刑のようだ。
「なるほどの。良かったのぅ、アズライル猊下。イシュラナ教団の天下が、これからも安泰そうでの……」と、ヴァロムさん。
そこで神官の1人が激高した。
「貴様、猊下に向かってなんと失礼なッ! 今の発言は、オルドラン家の者全員に悪い影響を及ぼすことになるぞ!」
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