Lv53 クリーストの使者として
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以前の様な覇気が感じられません。どこか、虚ろな感じです。しかし……原因がわかりません。身体に異常も無いそうですから」
「しかもここにきて、アルシェスの様子も変だ。俺が話しかけても、反応しない時がある……。何か漠然とだが、嫌な予感がしてならない……。近い将来、このイシュマリアに未曾有の危機が訪れそうな気がして……」
この間、ゼーレ洞窟に行く前の夜も、こんな事を言っていた。
とりあえず、幾つか訊いてみよう。
「アヴェル王子、国王陛下に異変が現れ始めたのは、アムートの月に入ってからですか?」
「ええ。その通りです。よくわかりましたね。民達の噂で知ったのですか?」
ティレスさんに教えてもらった事だが、今は誤魔化しとこう。
「まぁそんなところです。ちなみにですが、異変が現れる前と後で、陛下の身の回りで変化はなかったですかね。例えば、侍従が変わったとか、普段飲んでる薬が変わったとか」
「侍従は変わりないですね。護衛者も変わりないです。ここ何年かは、ずっと同じ者ですから。それと父は健康そのものですから、薬は飲んでいませんよ」
「そうですか。では、普段身に着けている物とか、部屋の模様とかも変化はないですか?」
「身に着けている物と部屋の模様ですか……それは変わり……あ、そういえば……」
アヴェル王子はそこで顎に手を当て、思案顔になった。
「何か思い出しましたか?」
「いや、うろ覚えなので自信ないんですが、異変が現れる前と今とでは、額のサークレットの形が微妙に違うような気がするんです。とはいえ、目の錯覚かもしれませんが……」
怪しいが、確証がない。
一応、頭の片隅に入れとこう。
「なるほど、サークレットですか……。ちなみに、アルシェス王子にも、そういった変化はないですかね?」
「アルシェスですか……う〜ん……どうだったかな。違うところと言えば、眼鏡くらいかな」
「眼鏡?」
「ええ。ですが、アルシェスは気分で眼鏡を結構変えますからね。今に始まった事ではないですよ」
これもかなり怪しいが、確証がない。
とはいえ、眼鏡に呪術的細工がしてある可能性も否定はできない。
これも頭の片隅に入れとこう。
「そうですか。まぁ何れにしろ、今までと様子が違うという事は、何か原因があってそうなっているのだと思います。その原因が、病的なモノなら致し方ないですが、呪い的なモノでそうなっているのならば、当然、話は違ってきます。その辺は注意した方が良いかもしれません……」
「確かに……少し調べる必要がありますね」
「呪い的なモノか……。おっと!? そういえばコータローに訊こうと思ってた事があるんだった」
するとウォーレンさんはそこで立ち上がり、奥にある書斎机の上に置かれた大きな板を持ってきたのである。
ウォーレンさんは、俺達の前にあ
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