Lv53 クリーストの使者として
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やってくるものです。何れ、良い方向に変わるかもしれませんよ」
「だといいが……」
クラウス閣下はそう告げた後、目を閉じ、暫し黙り込んだ。
眉を寄せ、唇を噛み締めるその表情は、不安と疲れが入り混じったモノであった。
今の状況を色々と憂いているのだろう。
馬車は暫く進むと魔導騎士が屯する門を潜り抜け、アリシュナへと入ってゆく。
俺はそこで、車窓から外に目を向ける。すると、すでに日は落ち、辺りは闇が覆っていた。
そんな夜の街を更に真っすぐと進み、馬車はヴァルハイムへと続く門を抜けて行った。
ちなみにだが、検問の際、執政官本人の確認だけで進んでいるので、俺に対する尋問等は全くなかった。
これらの対応を見る限り、恐らく、この執政官専用馬車はかなり信用されているのだろう。
まぁそれはさておき、ヴァルハイムに入った馬車は、大きめの十字路を右へと曲がり進んでゆく。
そこを暫く進み、馬車は大きな屋敷の格子門の前で停車した。
程なくして、使用人と思われる者が門を開く。
門が完全に開ききったところで、馬車は敷地内へと進みだした。
そして、馬車は屋敷の玄関前で、ゆっくりと停車したのである。
クラウス閣下はそこで、俺へと視線を向けた。
「さて、私ができるのは、ここまでだ。あとは貴殿の仕事。上手くいくように、私はイシュラナに祈るとしよう。……貴殿にイシュラナの加護があらんことを……」
「ありがとうございました、クラウス閣下。ご助力感謝いたします。またいつの日かお会い致しましょう」
「うむ。また会おう」
「では、行って参ります」
俺はそこで馬車を降りた。
そして、馬車の近くで待機する使用人に案内され、俺は屋敷の中へと足を踏み入れたのである。
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