Lv51 そして地上へ……
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かれた下の地面となります。ですから、光を遮る面積が一番広い、この大きな木箱の下が最も暗い場所となるんです」
アヴェル王子とウォーレンさんは納得したのか、ウンウンと頷いていた。
「なるほど……そういう風に考えると、確かに、この木箱の下になりますね」
「そういうことか……しかし、なんでこんな謎かけをしたんだ? 普通に書けばいいと思うが……」
「恐らくですが、魔物達に見つかった場合の対策としてという側面と、浅はかな考えの者には渡さないという、彼の気配りなのでしょう」
「確かに、そうなのかもしれないな……」
「この人なりに、精一杯、この国の事を思って最後を生きたんでしょうね……敬意を表しますよ、俺は」
俺はそう告げた後、この遺体に対し、手を合わせて合掌した。
ついつい日本の弔い方が出てしまったので、他の皆は不思議そうに俺を見ていた。が、まぁ仕方ない。しみついた癖というのは、どうにもならないものだ。
黙祷を捧げたところで、俺は皆に言った。
「さて、それじゃあもうそろそろ、ここを出る方法を探しましょうか」
「でも、どうやらここで行き止まりのようです。この空洞には入ってきた扉以外ありません。どこかに抜け道があるのかもしれないが……」
アヴェル王子はそう言って、周囲を見回した。
「抜け道はあると思いますよ。先程の遺言の内容から察するに、洞窟側の隠し扉以外にも、老魔法使いが出入りしていた抜け道が必ずある筈です」
「コータローさんはどこだと思いますか?」
俺は扉の先を指さした。
「たぶん……ここには抜け道はないと思います。恐らく、その手前の空洞でしょう。ここには、空気の流れがないですからね。空気の流れがあるのは手前の空洞までです」
「た、確かに……」
「とりあえず、ここを出て、向こうに行きましょう」――
[U]
遺体のある空洞から出た俺達は、空気の流れがある場所まで移動する。
そこで立ち止まり、俺は天井付近に目を向けた。
「どうやら空気の流れはあの辺りですね……」
位置的に俺達から15mほど上であった。
「あんなに高い位置からですか……どうしましょう? 壁はほぼ垂直ですから、行くのも至難ですよ」
「魔導の手を使えば、たぶん、いけると思います。つーわけで、ちょっと待っていてください」
俺はそこで、空気の流れている付近にある岩のでっぱりに、見えない手を伸ばし、自分を引っ張り上げた。
そして、空気の流れる箇所に来たところで、俺は暫しの間、壁に目を凝らしたのである。
(……微妙に薄明かりが見える……ってことは、この向こうは外かもしれない……とりあえず、壁を破壊してみるか)
というわけで、俺は下にいる皆に告げた。
「皆、少し離れていてください。今からこの壁を壊してみます」
「わかり
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