Lv51 そして地上へ……
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ル王子はそこで紙を持つ手をおろした。
「……ここで終わりだ」
全員無言であった。
皆、信じられないような目でアヴェル王子の持つ紙に視線を向けていた。
程なくして、ウォーレンさんが恐る恐る口を開く。
「イ……イシュラナが……偽りの神だと……なんなんだ、この手記は……それにアムクリストだと……馬鹿な……こんな事がある筈……」
「そ、そうですよ。こんな話デタラメですよ。こんなことある筈……ないです」と、ミロン君。
「なによ……これ」
「どういうことだ、一体……」
ラッセルさん達やバルジさん達はそれ以上何も言葉を発しなかった。
この場に沈黙が訪れる。
そんな中、俺は少し引っかかる点があった為、それを訪ねる事にした。
「アヴェル王子、大盗賊バスティアンというのは、王城の方でも有名なのですか?」
「はい、有名です。後にも先にも、厳重な宝物庫に忍び入り、国宝を盗んだのはバスティアン以外おりません。稀代の大盗賊としてイシュマリア城でも記録されておりますから」
「そうですか……ですが、ここに記述されている事が正しければ、その考えは改めたほうが良いかもしれませんね。濡れ衣という可能性もありますから」
「しかし……しかしですよ……グッ……という事は……光の女神とは一体……」
アヴェル王子はそれ以上は言わなかった。恐らく、考えたくもないのだろう。
それは他の皆にしても同様で、誰一人として、この事に触れる者は皆無であった。
信じたくないに違いない。これは無理もない。
イシュマリアが建国されて3000年もの間、国を挙げて皆が信仰してきた女神だ。今の内容を受け入れられられよう筈もない。
(……もう、この話題について考えるのは止めておこう。ここにいる者達は皆、冷静に考えられないに違いない。それより、今はここを出る事と、もう1つの謎を解明しないといけない)
俺は話を進めた。
「アヴェル王子、その遺言について今考えるのはやめましょう。それよりも、ここを出る方法を探すべきです。ですが、その前に……その遺言の中で1つ確認したい事があります」
「確認したい事? それは一体?」
「最後の方に書かれていたアムクリストへの3つのお願いについてです。3つ目はなんて書いてありましたか?」
アヴェル王子は紙に目を落とし、読み上げる。
「3つ目は……ある物をこの部屋の最も暗い場所に隠してほしいというお願いである……と書かれています」
「この部屋の最も暗い場所……」
ラッセルさん達の声が聞こえてくる。
「最も暗い場所……」
「ここは元々真っ暗なのよ。どういう事かしら」
「わけが分からないわ」
「なんや、エライ、遠回しな言い方やなぁ〜。元々暗いのに、最も暗いって意味不明やで……」
皆、首を傾げていた。
俺はそこで、室内
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