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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv51 そして地上へ……
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ていない。
 なぜなら、それを見たところで、私は意識を手放したからである。

 私が次に目を覚ましたのは、洞窟の中であった。
 地べたに枯草を敷いたところに、私は寝かされていた。
 目は覚めたものの、身体が重く起き上がれなかった。
 私は首だけを動かし、周囲を見回した。
 すると、私のすぐ傍に、茶色のローブを身に纏う、長い銀髪の老人が1人いたのである。
 老人はそこで私に話しかけてきた。
「安心なされ。ここに魔物はおらん。儂はアムクリストという変人魔法使いじゃ。まぁ人によっては賢者と呼ぶ者もおるがの。しかし、お主、災難じゃったの」
 このアムクリストという老魔法使いに対し、私は少し警戒したが、とりあえず、自己紹介はしておいた。
「私の名は……バスティアン」
「バスティアンというのか……ふむ」
「貴方が私を救ってくれたので?」
「まぁそうじゃが、まだ動かぬ方がよいぞ。死んでいてもおかしくないくらいに出血しておったからの」
「……あの、私の荷物は?」
「荷物ならそこにある。心配せぬでもよい。儂は何もしておらんよ」
「そうですか……」
「……で、お主、魔物に襲われて死にかけておったが、一体、何があったのじゃ? 何匹もの魔物が1人の人間をあそこまで執拗に狙うなんて事は、あまりないからの」
 私は今までの事を、このアムクリストという老魔法使いに話してもよいものかどうか迷ったが、一縷の望みをかけて、この老人にすべてを話すことにした。
「貴方にお願いがあります……」
「なんじゃ一体?」
「実は」――

 私はこれまでの事をできるだけ詳細に話し、老人の言葉を待った。
 突然こんな話をして信じる奴はいないと思ったが、暫しの沈黙の後、老魔法使いはこう答えたのである。 
「……わかった。お主の願いを聞き入れよう。この壺の始末は儂に任せるがよい」
「どうか……どうか……よろしくお願いします」
「そちらの王家の紋章が描かれた箱の方はよいのか?」
「これは王城から盗まれた物です。これを持つことによって、貴方に盗賊の嫌疑がかかるかもしれない。なので、これは私が何とかしようと思います」
「そうか……ン?」
 するとその時、この洞窟内に魔物達の声が木霊したのであった。

【者共! 聞くがよいッ。この洞窟内にバスティアンと妙な老人が逃げ込んだ筈だッ! 隈なく探せッ! バスティアンは見つけ次第殺せ! そして杖と壺を回収するのだッ!】
【ハッ、ジルド様!】

 老魔法使いは険しい表情で呟いた。
「むぅ……この声の数……こりゃ、かなりの数の魔物が入ってきたのぅ……洞窟側は隠し扉じゃから、そう簡単には見つからんじゃろうが……もしバレたら、流石に儂だけでは厳しい数じゃな……」
 私はここで覚悟を決めた。
「ご老人……私に遠慮す
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