Lv51 そして地上へ……
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とは王家の事なのだろうか……。
そして……光の女神イシュラナが、居りもしない偽りの女神とはどういう事なのだろうか……。
こういった疑問が私の頭の中を埋め尽くす。
だがそこで、ある事が、私の脳裏をかすめた。
それは出てきた時の彼等の姿であった。
彼等は何も持っていなかったのである。
そこで私はこう考えた。
控えの間には、雨雲の杖とディラックのマグナと呼ばれるモノが、まだがあるかもしれない、と……。
先程の会話を盗み聞き、イシュマリアの行く末を案じた私は、意を決し、行動を開始した。
周囲を警戒しながら控えの間へとやってきた私は、扉をそっと開き、中へ足を踏み入れる。それから静かに扉を閉め、室内を見回した。
中は私が退出した時とそれほど変わりはない様相であったが、イシュラナの紋章が刻まれた煌びやかな来客用の長机の上に、2つのモノが置かれているのが視界に入ってきた。
1つは奇妙な模様が描かれた布にくるまれており、大きさは小さめの花瓶程度の物。もう1つは、イシュマリア王家の刻印が押された美しい魔法銀製の細長い箱であった。
私はこれらをどうするか、必死に考えた。
ジルド神殿管理官達が戻って来る可能性もある為、短時間で必死に悩んで出した私の結論は『これらが先程の会話に出ていた物ならば、私以外に彼らの計画を止められる者はいない』という事であった。
私は覚悟を決め、行動を開始した。
これら2つを近くにあった布でくるみ、小脇に抱えると、私は控えの間を出た。
そこで周囲を見回し、確認する。
どうやら、この近辺には誰もいないようだ。
だがそう思った次の瞬間、大きな声が辺りに響き渡ったのである。
【貴様ッ! そこで何をしているッ!】
少し先にある柱の陰から、なんとジルド神殿管理官が現れたのだ。
【なッ、お前はバスティアン! その脇に抱えてるのは、ま、まさか……オノレ! 貴様、さては見ていたなッ!】
ジルド神殿管理官の表情が恐ろしい形相に変わる。
私は恐怖のあまり、脇目も振らず、駆け出した。
【待て、貴様ァァ!】
ジルド神殿管理官も追いかけてきた。
私は全力で走り続ける。
大神殿を出た私は、そのままラヴァナの大通り出て、神官達の少ない東方面へと向かって走り続けた。
なぜ神官達を避けるのかというと、神殿関係者すべてが、この時の私には信頼の置けるものではなくなっていたからだ。
夜中の平民街に入った私は、人混みに紛れながら走り続けた。
周囲の人々は怪訝な表情で私を見ていたが、そんなことはどうでもよい事であった。
東のラスティーア商業区に来たところで、私は背後を振り返った。
すると、ジルド神殿管理官の姿はなかったのである。
どうやら、撒くことができたようだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ