Lv51 そして地上へ……
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が、仕方あるまい」
「ディラックの魔境はサンミュトラウスにおける最も危険な地の1つですからな……あの地はラム・エギドに住まう同胞でさえ、恐れる場所……しかし、これがうまくいけば、他の地を侵攻している大公達は焦るでしょうな。アヴェラスの大公であるアシュレイア様が、頭一つ抜きんでることになります故……」
「口が過ぎるぞ、ジルド……」
「も、申し訳ありませぬ、アシュレイア様……」
「……向こうには向こうのやり方があろう……我らには関係のない事……」
「しかし、ミュトラと交わしたとされる盟約の系譜の1つ、ラトゥーナの末裔がいるグアルドラムーンの地では、我らと同様、リュビストの結界にかなり手こずっていると聞いた事がございます。噂では結界を解くのに、あと1000年ほどかかるとか……。それを考えますれば、この地も同様の可能性がございます。ヴィゴール様もこの間仰っておられましたが、リュビストの結界が弱まらないと本格的な侵攻は難しいと……」
「フッ、だろうな……だが、我らは我らのやり方で行けばよい。それより、お前にコレを渡しておこう。受け取るがよい……」
「黒い玉……これは一体……」
「それは試作品だが……ラム・エギドに漂うマグナと闇の魔力を合成し、封印したモノらしい。これを用いれば、我らの持つ本来の力を一時的に開放できるそうだ……」
「なんと……それは誠でございますか?」
「試してみるがよい。使い方は普通の魔導器と同じらしい」
「ハッ……では、早速」
私が会話を記録できたのはここでまでである。
これ以上記録するのは不可能であった。
なぜなら、私はこの後、身の毛もよだつくらいの悍ましいモノを見てしまったからだ。
ジルド神殿管理官は黒い霧に包まれた後、恐ろしい魔物へと姿が変わってしまったのである。
銀色の毛並みに猿のような顔。頭には二つの角と背中には蝙蝠のような羽。そんな姿をした悍ましい化け物に……。
恐怖で私は暫く身動きできなかった。
だが、ここにいては危険と考えた私は、震える手を押さえつけながら扉をそっと閉め、この場から離れる事にしたのである。
その後、私は、控えの間から死角になる位置に身を潜め、様子を窺った。
暫くすると、控えの間の扉が開き、中からジルド神殿管理官と黒いローブを纏う者が姿を現した。
彼等は扉を閉めた後、周囲を確認し、この場から立ち去った。
そして私は、今の出来事を思い返し、恐ろしさのあまり、身体をブルブルと震わせたのである。
ジルド神殿管理官は人ではないのか……。
なぜ醜悪な魔物に変化したのか……。
国宝である雨雲の杖をなぜ盗んだのか……。
ディラックのマグナとは一体何か……。
あのアシュレイアと呼ばれていた者は、一体何者なのだろうか……。
アレイスの末裔
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