Lv51 そして地上へ……
[11/11]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ました」
全員、距離を取ったところで、俺は魔光の剣を発動させ、光刃を壁に向かい深く切りつけた。
するとその直後、壁の一部が崩れて落下し、外の眩い日光が射し込んできたのである。
下から、皆の安堵の声が聞こえてくる。
「ああ、外の明かりだ!」
「間違いない、その壁の向こうは外だ」
「やっと出れるのね……」
「助かったぁぁ」
俺は人間が通れるくらいに大きく穴を広げた後、一旦、下に着地した。
アヴェル王子が労いの言葉をかけてくる。
「ありがとうございます、コータローさん。貴方のお陰で、なんとか脱出ができそうです」
「いや、ここにいる皆のお陰ですよ。それより、丈夫な紐のようなモノって誰か持ってますか?」
するとボルズの背中にいるバルジさんが声を上げた。
「持っているとも。コッズ、宝探し用に準備した昇降用の綱があるだろ。それをコータローさんに渡してくれ」
「ああ」
コッズという男戦士が、束ねられた綱を俺に差し出した。
「ありがとうございます。では、お借りしますね」
そして俺は、魔導の手を使って上昇し、今開けた穴から外に出たのである。
外に出た俺は、周囲を警戒しつつ、大きく背伸びした。
眩しい日の光と、暖かな優しい風が俺の頬を撫でる。
それもあり、外に出た瞬間、ホッとした気分になった。
俺は背伸びをしながら、周囲を見回した。
見たところ、外は少し盛り上がった丘のような場所であった。
周囲は木々がまばらに生えている為、日光がよく届く。その所為か、辺りは青々とした雑草が茂っており、草原のような感じになっていた。
魔物の気配も感じられない。今のところ、危険はなさそうな場所であった。
まぁそれはさておき、俺は近くにある木に綱を括り付け、残った綱を穴に垂らした。
「皆、綱は括りましたんで、どうぞ上がってきてください!」
アヴェル王子の元気な声が聞こえてくる。
「わかりました。では行くぞ、皆!」
それから程なくして、全員がこの綱を伝って地上へと上がってきた。
そして到着するや否や、皆は安堵の言葉を発したのである。
「ようやく地上か」
「ふぅ……流石に疲れたぜ」
「やったぁ、生きて帰れたぁ」
「こんなに外の空気って澄んでいるのね」
「ホンマや、めっちゃ空気美味いわぁ……」
「もうしばらく、洞窟には行きたくないわ」――
地上に帰ってこれたという安心感からか、皆はその場に倒れるかのように腰を下ろし、横になった。ある者は大の字になり、またある者はうつ伏せになっていた。
ここにきて緊張が緩んだこともあり、どっと疲れが来たのだろう。まぁ俺もだが……。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ