Lv49 悪鬼の最期( i )
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おり、奴が使ってこなかったから、勝てたようなものだからな」
「おお、アレは確かにヤバかったぜ。あんな魔法立て続けに使われたら、たまんねぇよ」
どうやら皆、『使ってこなかった』と思っているようだ。
水を差すようで悪いが、俺の見解を話すとしよう。
「皆さんはやはり、使ってこなかったと思っているのですか?」
するとミロン君は首を傾げた。
「え、違うんですか?」
「これは俺の推察だけど……あれは、使ってこなかったのではなく、使いたくなかったんだと思うよ。少なくとも……アヴェル王子が生きている間はね」
アヴェル王子は眉根を寄せた。
「ど、どういう意味ですか、コータローさん」
「アヴェル王子……奴があの魔法を使った後の事、覚えておりますか?」
「勿論、覚えているよ。デインの魔法剣で攻撃した時の事だろう?」
「ソレです。奴はあの時、アヴェル王子の攻撃によって傷を負ったんですよ。アレは多分、奴にとって予想外だったんじゃないでしょうか。その証拠に、魔法発動前の動作に入っていたにも拘らず、魔法を使うのを止め、アヴェル王子への攻撃へと切り替えましたからね」
「あ、確かに……」
「それに加えて、その後の行動はあまりにも矛盾してました」
「矛盾?」
「ええ。奴はあの時、アヴェル王子の攻撃を中々の威力と認めつつも、何百回と攻撃されても問題ないような事を言っておりました。ですが、それからというもの、奴はまた棍棒による攻撃に徹し、あの魔法は二度と使わなかったんです。そこがまずおかしいんですよ。王子の攻撃が何ともないなら、魔法を連続で使って、俺達を倒せばいいんですから。しかし……奴はそうしなかった。つまり……使いたくても使えなかったのではないかと俺は思っているのです」
ウォーレンさんが訊いてくる。
「という事は……アヴェル王子の魔法剣は奴にとって脅威だったって事か?」
「ええ。俺はそう思っています。そこでアヴェル王子にお訊きしますが、あの時、もう少し踏み込めたらイケそうだと思いませんでしたか?」
アヴェル王子は頷いた。
「今思い出したよ。あの時、踏み込みが浅かったから、次はもう少し深くと思っていたんだ。しかし……奴の言葉を聞いてガックリときたのを覚えてるよ。何百回と受けても問題ないなんて言われたからね……」
「それが奴の狙いだったと思いますよ。大体、奴の身体を切り裂けたのは、俺の持つ魔光の剣とアヴェル王子のデインの魔法剣だけです。アレは恐らく、奴なりの駆け引きだったんじゃないでしょうか。あの魔法を使うとき、奴はかなり無防備になりますからね。ま、今となってはその本人もいないですから、確認のしようがないですが……」
「なるほど……あの魔物は見た目に似合わず、結構慎重な魔物だったという事ですね」と、ミロン君。
「まぁそうなるのかな。でも
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