Lv49 悪鬼の最期( i )
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仰向けになった。
それから大きく息を吐き、安堵の表情を浮かべたのである。
「すまんな、ボルズ……。コータローさんに頼まれて死んだフリをしていたんだ」
「もう脅かさないでくれよ……ズズズ」
ボルズは笑みを浮かべ、鼻を啜った。
「良かったじゃないか、ボルズ。ちゃんとコータローさんに礼を言っとけよ」と、ラッセルさん。
「ああ、勿論だ」
そして、ボルズはサッと起き上がり、俺に深く頭を下げたのである。
「ありがとう、コータローさん。アンタのお蔭だ。もう何言っていいのかワカンネェくらいに感謝してるよ。命の恩人だ。いつか、何らかの形で、礼はさせてもらうよ」
「いいよ、別に。こんな事態での話だしな。その辺は気にしなくていい」
「そうはいかねぇよ。ところでコータローさん、なんで兄貴に死んだフリをさせたんだ?」
「なんでって、そりゃ決まってるだろ。アンタが、ようやくやる気を出してくれたからだよ」
「へ、やる気? って……あッ!?」
ボルズも気付いたみたいだ。
ラッセルさんはポンと手を打った。
「ああ、そういう事だったんですか。確かに、あの魔物と戦ってるときのボルズは、別人のようでしたからね。俺も驚きましたよ」
バルジさんも同調する。
「俺も驚いたよ。ようやくお前も一皮むけたな。見直したぞ、ボルズ」
ボルズはポリポリとコメカミをかいた。
「いや、あれはな……兄貴が死んだと思っちまったから、怒りで何もかもが吹っ飛んじまってたんだよ。もう、奴に斬りつける事ばかりで頭が一杯だったんだ」
「そうなのか……ま、何れにしろ、さっきのお前を見て俺も安心した。もう少し、自分の力を信じろ、ボルズ。そうすれば、さっきのような力を出せるんだからな」
「兄貴……」
バルジさんの励ましを聞いて少しウルッと来たのか、ボルズは手の甲で瞼を擦った。
今まで色々とあったようだが、これでこの2人も仲良くなるに違いない。雨降って地固まるというやつだ。
と、ここで、アヴェル王子が話に入ってきた。
「お話し中のところすまないが、私からも一言言わせてもらいたい。皆、よく頑張ってくれた。君達のお蔭で、このイシュマリアは救われたようなものだ。イシュマリア王家を代表して、私からも礼を言わせてもらうよ。貴殿らの働きに感謝いたします」
アヴェル王子は皆に深く頭を下げた。
と、その直後、バルジさんと俺を除いた冒険者達は皆、王子の前で跪き、恭しく頭を垂れたのである。
まずラッセルさんが口を開いた。
「これまでの非礼、お許し下さい、アヴェル王子。まさか王族の方がおられるとは思いもしませんでしたので」
「皆、顔を上げてくれ。今回はお忍びで来たのだから、そこまでの儀礼は必要はない。今まで通りで構わないから」
「え、ですが……」
「構わない。それに俺も、堅
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