Lv49 悪鬼の最期( i )
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残った全魔力を両手に向かわせ、話を続けた。
「そして……もう1つ重要な事がある。今のお前は弱点がむき出し状態って事だ。だから、この魔法も、今のお前なら効果がある……というわけで、喰らえ、メラミ!」
両手から2つの火球が放たれ、奴の引き裂かれた傷口に襲い掛かる。
その直後、火球は爆ぜ、ヴィゴールの全身に火の手があがった。
【グギャァァァ】
メラミの炎に焼かれ、ヴィゴールは狂ったような悲鳴を上げながら、もがき苦しむ。
その光景を見ながら、俺は片膝を突いた。
(ハァハァ……これで魔力は尽きた……俺に出来る事はもうない。……後はアヴェル王子に任せよう)
俺はアヴェル王子に向かい叫んだ。
「アヴェル王子! デインの魔法剣で奴の脳天を貫いて下さいッ。今の奴ならば、それで止めを刺せる筈ですッ」
「わかりましたッ」
王子は光の剣を構え、刀身に雷を纏わせる。
そして、炎に焼かれる奴に飛び掛かり、脳天にデインの魔法剣を突き立てたのである。
「デヤァァ!」
【アギャァァ……モウシ……ワケ…アリ…ン…アシュ…レイア…サマァ……】
ヴィゴールは弱々しい悲鳴を上げながら、動きをゆっくりと制止する。
程なくしてメラミの炎も消え去り、黒い肉塊と化したヴィゴールの哀れな姿だけが、そこに残ったのであった。
[U]
奴が事切れたのを確認したところで、アヴェル王子はヴィゴールの頭部から剣を抜いた。
するとその直後、ヴィゴールの亡骸はドロドロと溶け始め、骨だけを残して蒸発していったのである。
それから更にその骨も、パラパラと音を立てて崩れてゆき、砂とも灰ともいえない白い粉状の物へと変貌を遂げたのであった。
(ヴィゴールの身体が消滅した……どういう事だ一体……。他の魔物達はこういう事にならないし、以前倒したザルマも遺体は残っていた。わけがわからん……)
と、ここで、アヴェル王子が訊いてくる。
「コータローさん……魔物が消えてしまいました。これは一体……」
「う〜ん、その辺はなんとも……。ですが、何れにせよ、ヴィゴールはこれで死んだと思います。肉体自体が崩壊してましたから」
「では、俺達の勝利というわけですね?」と、ラッセルさん。
「ええ……恐らくは」
少し釈然としない部分はあるが、俺はとりあえず頷いておいた。
すると安心したのか、他の皆は安堵の表情を浮かべると共に、ヘナヘナと力が抜けたかのように、地べたに座り込んだのである。
今まで相当気を張っていたのだろう。緊張の糸が一気に緩んだに違いない。
と、そこで、ウォーレンさんの声が聞こえてきた。
「よし、では疲れているところ悪いが、俺達後衛の最後の仕事だ。負傷した者達の治療を始めるぞ。魔力が残っている者は、すぐに治療を始めてくれ」
(そう
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