Lv49 悪鬼の最期( i )
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……さっきミロン君も言ったけど、俺達は運が良かったと思うよ」
「弱点を知る事ができたからですか?」
「それもあるけど、奴が有り得ないくらい、余裕でいてくれたからさ。それで勝てたようなモノだからね。奴がもし、死に物狂いで俺達に襲い掛かってきたら、多分、全滅してたと思うよ」
アヴェル王子は顎に手をやり、ゆっくりと首を縦に振る。
「言われてみると、確かにそうだ……奴は終始、余裕綽々といった感じだったからな。俺達にかなり油断していたに違いない」
「いえ、そういう意味で言ったのではありません。奴は油断はしていたのではなく、無理をして、余裕な態度を取っていたんじゃないですかね……」
俺はそう言って、空洞の奥へと視線を向けた。
アヴェル王子とウォーレンさんは首を傾げる。
「は? どういう意味だ一体……」
「あの、意味が分からないのですが……」
この感じだと、皆は気付いてないようだ。
大事な事なので話しておこう。
「この洞窟に落とされてすぐのこと覚えてますか? 謎の声とヴィゴールのやり取りです……」
「ええ、覚えてます。それがどうかしましたか?」と、アヴェル王子。
「ヴィゴールはアシュレイア様と言ってましたが、あの時のやり取り……少し妙だと思いませんでしたか?」
「妙?」
「ええ。ヴィゴールのあの話し方と仕草、あれはまるで、どこかで見ている者に話しかけているようでした。それを裏付けるかのように、アヴェル王子を如何するかと、わけのわかんない事も訊いてましたからね」
するとここで、皆はハッとした表情になり、周囲を見回したのである。
ボルズは恐る恐る口を開いた。
「ちょ、ちょっと待てよ。って事は……今も俺達は見られているのか?」
「ああ、多分な。でも、未だに何もしてこないって事は、多分、声の主は俺達に何もできないのだろう。恐らく、手出しできない状況なのかもしれない。だがまぁ何れにしろ、見られているとは思うよ」
俺の言葉を聞き、皆はソワソワとし始めた。
気にするなというのが無理な話である。
まぁそれはさておき、俺は話を続けた。
「で、奴が余裕ぶっこいてた理由ですが……このアシュレイアの存在が大きく起因してるんじゃないかと、俺は思っているんです」
「あの、コータローさん……ますます、わからなくなってきました」と、ラッセルさん。
「簡単な事ですよ。早い話が、見られていたからです」
「も、もう少し、分かりやすく」
「ではラッセルさんにお訊きします。仮にですが、貴方は、敬愛する偉大な王様に仕えていたとしましょう。その王様の前で魔物と戦う時、貴方ならどういう風に考えますかね?」
「どういう風に考えるかですか……う〜ん、そうですね……倒すのは当然ですが、少なくとも、みっともない戦いは見せたくないですね……やはり、王様
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