Lv48 死闘の行方
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ねッ!】
ヴィゴールは棍棒を振りかぶる。
ボルズは亀のように身体を縮こませた。
「ヒィィィィィィィ!」
と、その時である。
「させるかァァ!」
なんとバルジさんが、ボルズとヴィゴールの間に入り、奴に向かって突進したのである。
バルジさんの剣はヴィゴールに腹部に喰いこむ。が、しかし……奴はその攻撃を受けるや否や、棍棒から手を離し、バルジさんを鷲掴みにしたのである。
【フン】
ヴィゴールは手に力を籠めた。
ボキボキと何かが折れる音が聞こえてくると共に、バルジさんの絶叫が洞窟内に響き渡る。
「グアァァァァァァァァァァ!」
【ククククッ、馬鹿な男よ。こんな蛆虫のような弟なんぞ、放っておけばよいモノを……クククッ。そういえば、貴様には礼をしとかねばならぬな。王都一の冒険者という称号を得る為に、貴様はよく働いてくれた。お蔭で我も暗躍しやすくなったぞ。ククククッ、せめてもの礼だ。そんなに死にたいなら、まずはお前から始末してやろう。死ね!】
と、その直後、ヴィゴールはフルスイングでバルジさんを洞窟の壁に投げつけたのである。
「ガァッ!」
恐ろしいほどの勢いで壁に直撃したバルジさんは、グッタリとボルズの脇に転がった。
額や鎧の隙間からジワッと血がこぼれ落ちてくる。
それはもう一目でわかるくらい、瀕死に近い状態であった。
ボルズやラッセルさん、そしてバルジさんの仲間達の声が洞窟内に響く。
「兄貴ッ!」
「バ、バルジ!」
「大丈夫か、バルジッ!」
バルジさんは吐血しながらも口を開いた。
「ゴフッ……どうやら、ここまでか……まさか、お前を庇って死ぬことになるとはな……ゴフッ。いつもそうだ……お前は肝心なところで逃げ出す。だから俺は、お前を冒険者として捨てた。早死にするのは目に見えてたからな」
ボルズはバルジさんの身体を起こす。
「なんで助けたんだ、なんで! 俺の事なんか放っておきゃいいのにッ」
「さぁ……なんでだろうな、俺もわからん。やはり、血を分けた家族だからか……ウッ、ゴフッ」
「死ぬな、兄貴ッ!」
「フフフ……皮肉なもんだな……お前を助けたところで生きながらえる可能性なんてないのに……」
「しっかりしろ、兄貴ッ」
「ボルズ……お前も一度は冒険者を目指したのなら、最後くらい足掻いてみせろ。じゃなきゃ……お前は……一生……弱虫のま……ま……」
その言葉を最後に、バルジさんの身体は事切れたかのように、ガクッと力が抜けたのである。
ボルズは悲痛な叫び声を上げた。
「ウワァァァァ、あ、兄貴ィィィィィィ!」
【ククククッ、仲睦まじい兄弟愛というやつか。面白いモノを見せて貰った。さて、ではお前もバルジと共にあの世へ行くがいい】
ヴィゴールは棍棒を振り上げた。が、しかし、予想外の事が起きた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ