Lv48 死闘の行方
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「ゴホッ……こ、ここは?」
「気が付きましたか、バルジさん」
バルジさんは眼球だけを動かし、俺を見た。
「貴方はコータローさん……ハッ!? そうだ、ゴランは! ゴホッ、ゴホッ」
「駄目よ、バルジ……今は安静にしてないと」
女性はそう言って、咳き込むバルジさんを優しく介抱した。
「クレア……ゴランに化けていた魔物はどうなった?」
女性は困った表情で俺に目を向ける。
仕方ないので、俺は正直に言っておいた。
「バルジさん……残念ですが、まだ戦いは終わっておりません。奴と戦っている真っ最中です。貴方の弟であるボルズもね」
「ボルズが?」
「俺も驚いてるところです。貴方が身を挺して庇ったのが効いたみたいですね。どうやら、アイツの中で迷いが無くなったんでしょう」
そこで俺はボルズに目を向けた。
ボルズは今、ヴィゴールの攻撃を掻い潜りながら、剣を振るっているところであった。アヴェル王子やラッセルさんと共に……。
その様子は正に戦士といった感じであった。
バルジさんは、ヴィゴールと戦うボルズを見ながらボソリと呟いた。
「そうか……アイツもようやく一皮むけたか……しかし、少し遅かったかな……」
バルジさんは残念そうに目を閉じた。
「遅い? なぜですか?」
「コータローさん……貴方ほど、頭のキレる方ならば、今がどういう状況かわかる筈だ。あの化け物には、どうやっても勝てない。恐らく、王都の冒険者……いや、魔導騎士団でも歯が立たないに違いない。だからですよ。奴には……俺達の剣や魔法は効かないんだ……」
まぁそう思いたくなるのも仕方ない。
実際、ボルズは剣で斬りつけてはいるが、ヴィゴールにダメージを与えれていないのは、明白だったからだ。
「まぁ確かに、そう思われるのも無理はないでしょう。ですが……先程のボルズの攻撃のお蔭で、俺はようやく希望が見えてきましたよ」
「希望? 何を言うかと思えば……。あの化け物は、ボルズ1人の力でどうこうできる相手ではない。貴方ほどの人ならわかる筈だ」
「ははは、そういう意味で言ったのではないですよ」
「こんな時によく笑えるな……ところで、今のはどういう……」
「……後にしましょう。それはともかく、貴方達にお願いがあります」
2人は互いに顔を見合わせる。
「お願いとは?」
「この戦いが終わるまでの間、バルジさんは死んだことにしておいてほしいのです」
「え、なぜ?」と、クレアさん。
「ボルズは今、バルジさんが死んだと思って戦っているからですよ。彼は今、貴重な前衛戦力になりました。もう直接戦えるのは、あの3人しかいません。これ以上減ると、奴の気を逸らせそうにないですからね……」
俺はそう言ってヴィゴールに目を向けた。
「コータローさん……貴方は一体何を……いや、訊く
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