Lv46 ヴィゴール( i )
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の壺……この中にはですね、ある魔物にとって非常に都合の悪いモノが入っております。貴方がこの壺の中にある液体を身体にかけれたならば、俺は貴方を人として信用する事にしますよ」
ゴランは壺を見るなり、生唾を飲み込んだ。
表情も素に戻っている状態だ。
「どうしました? この壺の液体を身体にかけるだけで疑いは晴れますよ。やらないんですか?」
するとゴランは額に青筋を浮かべ、俺に食って掛かってきたのである。
「な、何を言ってやがるッ! 俺が魔物だとッ。いい加減な事言うんじゃねぇよ。テメェだって魔物かも知れないじゃないかッ! やるんならテメェが先にやれ!」
「わかりました。では俺が先にやりましょう」
俺は壺の中にある液体を手で掬い、頭に掛けた。
当然、変化なしである。
「さ、では貴方の番です。こちらに来てください」
「うぐ……」
ゴランは重い足取りで、壺の前へとやって来た。
壺を見詰めながら、ゴランは暫し無言で立ち尽くす。
「どうしました、やらないのですか? できないのなら、貴方は魔物って事になりますよ」
忌々しいといった表情で、ゴランは俺を睨み付ける。
と、その直後であった。
ゴランは壺を蹴り倒し、液体を地面にぶちまけたのである。
「馬鹿馬鹿しい! こんな事やってられるかよッ! おい、バルジッ、こんな奴等、無視して早くゼーレ洞窟に行こうぜ。付き合ってられねェよ」
「しかしだな……お前……」
バルジさんは困惑した表情を浮かべていた。
流石に怪しく思ったのだろう。
まぁそれはさておき、俺はそこでネタをバラす事にした。
「あららら、あけちゃいましたね。でも安心してください、ゴランさん。貴方のその行動は、想定済みです。良い事教えましょう。その壺の中に入っている液体ですが、実は……ただの水なんですよ」
「な、何!」
ゴランは俺に振り向く。
俺はそこで、懐から深紫色の小瓶を取り出し、蓋を開けた。
そして、奴に向かい、俺はその小瓶を投げつけたのである。
「で、これが本物の液体です!」
中の液体が奴の顔に降りかかる。
ゴランは両手で顔を覆い、苦悶の声を上げた。
【グアァァァァ!】
それと同時に、ゴランの身体も徐々に巨大化してゆく。
すると程なくしてゴランは、鬼棍棒やギガデーモンを思わせる巨大な魔物へと変貌を遂げたのである。
(やはり、コイツがヴィゴールだったか)
ゴランの正体を見たバルジさんや他の冒険者達は、目を見開き、驚愕の表情を浮かべていた。
それはアヴェル王子やウォーレンさんにしても同様であった。
やはり、少しは半信半疑だったのだろう。
と、その時、地の底から響くような低い声が、辺りに響き渡ったのである。
【クックックッ……よくぞ、我が正体を見破
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