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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv45 落ちこぼれ冒険者
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法薬だ。基本的に魔法薬は液体の薬ばかりのようである。
 まぁそれはさておき、満月草を服用して暫くすると、シーマさんの身体の震えは徐々に治まってきた。どうやら効いてきたのだろう。
 程なくして、シーマさんは疲れたように口を開いた。
「あ、ありがとう……コータローさん」
「麻痺毒にやられたみたいだから、満月草を使ったけど、調子はどう?」
「うん……だいぶ良くなってきたみたい」
「そう、ならよかった」
 初めて満月草を使ったので、少々不安だったが、まぁこの辺の効能はゲーム通りのようだ。
 と、ここで、他の皆も俺達の所にやって来た。
 ボルズの気楽そうな声が聞こえてくる。
「なんでぇ、思ったより簡単な奴等だったな。弱い奴等で助かったぜ」
 俺はボルズに視線を向け、目を細めた。
「な、なんだよ、その目は……」
「勘違いしてるようなので言っときますが、そんな生易しい魔物ではないですよ。応手を間違えれば、全滅もあり得ました。その大鎌を持った魔物はベレスといってベギラマを得意とする強力な魔物です。そっちのハンババは麻痺を伴う高い攻撃力と火の玉を吐く魔物。まともに戦えば、こちらが窮地に陥る可能性の方が高かったです。俺がたまたま、この魔物達の弱点を知っていたから、すんなり戦闘を終わらせれたにすぎません」
「ベ、ベギラマが得意な魔物……」
 ボルズは生唾をゴクリと飲み込んだ。
 ラッセルさんが訊いてくる。
「コータローさん、この魔物達は一体……」
「多分、さっき酒場で、俺達の話していた内容を聞いて、ここに来たか……もしくは……殺せと指示されたんでしょうね」
「え? それってつまり……」と、マチルダさん。
 俺は頷いた。
「マチルダさんの想像通りですよ。つまり、冒険者の中に魔物がいるって事です」
「そ、そんな……」
 この場の空気がどんよりと沈む。
 そんな中、ボルズが焦った様子で訊いてきた。
「ちょっ、ちょっと待てよ。話についていけんぞ、どういう事だ、一体!」
「言葉通りの意味ですよ。それとすいませんね、どうやら、アンタを巻き込んでしまったようだ」
「へ? ま、巻き込んだ……って、ああッ!? て、てめぇ……よくもッ、どうしてくれんだよ!」
 ボルズは自分の置かれた状況に気付いたようだ。 
「謝るしかないですね。申し訳ない。でも、今はそんな事を言ってる場合じゃないですよ」
 と、ここで、ラティが偵察から帰ってきた。
「コータロー、外には冒険者どころか、他に人影もなかったわ。せやから、はよ、ここから撤収したほうがエエんとちゃうか」
「ああ、そうしよう」
「ですが……その前に、これらの魔物の死体はどうしましょう? 住民に見つかると大騒ぎになりますよ」
 ラッセルさんはそう言って、床に散らばる魔物達の屍に目を向けた。

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