Lv45 落ちこぼれ冒険者
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やがれッ! この野郎!】
ボルズは戦士に向かい駆け出す。
と、そこで、俺は両手を広げ、ボルズの前にサッと立ち塞がった。
「まぁまぁまぁ、そう熱くならない。それよりも、ちょっと貴方に訊きたい事があるんですよ。今、お時間よろしいですかね?」
ボルズは俺に血走った目を向け、吐き捨てるように言葉を発した。
【何言ってやがるッ! クソッ、全部テメェの所為だ! ぶっ殺してやるッ!】
そう言うや否や、ボルズは腰に帯びた剣の柄に手を伸ばした。が、しかし……奴が剣を手にする事はなかった。
【なッ!?】
なぜなら、奴が柄に手を掛けるよりも先に、俺がフォース……じゃなかった、魔導の手を使って剣を引き寄せたからである。
本当はこんな所で、魔導の手を使いたくなかったが、事情が事情なので、ここは割り切るしかないだろう。
まぁそれはさておき、剣がこちらに来たところで、俺は交渉を再開する事にした。
「俺は別にアンタと喧嘩しに来たわけじゃない。少し訊きたい事があるだけさ。つーわけでだ。これから俺達と一緒に来て欲しいんだが、どうだろう?」
「今のは、魔導の手……てめぇ……一体、なにモンだ……」
「俺は冒険者さ。で、返事はどうなの? 俺達に付き合ってくれるのかい? 付き合ってくれるのなら、この剣はアンタに返すよ」
ボルズは苦虫を噛み潰したような表情で、渋々ではあるが返事をした。
「チッ……返事を聞くとか言っておきながら、選択肢がねぇじゃねェか……クソッ……わかったよ」
「よし、なら、交渉成立だ。あ、そうそう、来るのはアンタ1人だけで頼むよ」
「フン……わかったよ」
そこでボルズは仲間に振り返る。
「おい、お前達、変な奴に絡まれちまったから、今日はとりあえず解散だ。また明日な」
「あ、ああ」
ボルズは俺に視線を向け、面白くなさそうに口を開いた。
「……何を訊きたいのか知らんが、しょうがねぇから付き合ってやるよ」
俺はボルズに剣を返した。
「悪いな。じゃ、これは返すよ」
「フン」
ボルズは面白くなさそうに剣を鞘に戻す。
そして、俺はラッセルさんの所へ行き、耳打ちをしたのである。
「ラッセルさん……この辺りで、人気のない静かな所って知ってますか?」
「人気のない所ですか? まぁ多少は」
「じゃあ、そこに案内してもらえますか。あまり人に聞かれたくない話ですので」
「わかりました。では、コッチです」――
俺達はラッセルさんの後に続いた。
するとその道中、ラティが俺の耳元でこんな事を囁いてきたのである。
「……さっきのやり取り、めっちゃオモロかったで。ワイ、コータローとなら上手くやってけそうや」
「オモロかったってお前……注目するとこが違うだろ」
「へへへ、ま、これからも仲良うしてこうな」
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