Lv43 魔窟からの帰還( i )
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くまでも緊急用です。一時的なモノですから、あんな戦い方、長くは出来ないんですよ。それに、普段はあんな戦い方しませんよ。俺は一応、魔法使いですからね」
「でも、一時的とはいえ、あんな魔物を倒せる冒険者なんて、王都にはそんなにいないと思うわよ。それに、変わった武器を持ってるのね」
シーマさんはそう言うと、腰のフックに引っかけた魔光の剣に目を落とした。
「ああ、これですか。これは魔光の剣といって、魔力で刃を造り出す魔導器なんですよ。まぁ切断力を上げるには、強い魔力圧と魔力量が必要ですから、そう簡単に誰でも使える武器ではないですけどね」
「へぇ、そうなの。初めて見たわ」
と、その時である。
今まで俯いていたリタさんが、顔を上げたのであった。
「コータローさん……貴方に助けられた私が言えた義理じゃないけど……そんなに強いなら、さっきの冒険者、なぜ助けなかったの? 貴方なら助けられたんじゃないの?」
リタさんの目は、少し非難している感じであった。
あの冒険者を見殺しにしたようなもんだから、正義感の強いリタさんからすると、未だに納得できないのだろう。
仕方ない、説明するとしよう。
「リタさん……それはどう考えても不可能です。だから、あの時、俺はああ言ったのですよ」
「なぜ? 貴方は魔物に変装できる杖も持っている。それを使えば、脱出できたんじゃないの?」
「無理です。理由は大きく、3つあります。まず1つ目ですが、あの空洞内には魔物が多すぎて逃走経路が確保できないという事です。あの冒険者達を儀式から救出したところで、俺達はあの場から出る事すら敵わなかったと思います。それから2つ目ですが、俺が貴方を助ける時にした戦い方は、魔力に頼ったものですから、僅かな時間しかできないという事です。貴方を救出した時のように、一度の戦闘で済むならそれも可能ですが、あの場でそれは到底不可能です。そして、3つ目……これが一番問題なのですが、まず、魔物が強すぎるという事なんです。ハッキリ言いましょう。あそこにいた魔物の多くは、王都の冒険者よりも数段上の魔物ですよ。実際、アルカイム街道で襲われたリタさんなら、肌で感じて分かる筈です。ですから、これらを考えた時、俺も辛かったですが、ああいう決断を下さざるを得なかったんですよ。助けられるものなら、助けてやりたかった……俺も苦渋の決断だったんです」
俺の説明を聞き、リタさんは暫し黙り込んだ。
マチルダさんがリタさんに話しかける。
「リタ……コータローさんを責めてはいけないわ。あの場で私達が出来る事は限られていたんだから、ああするしかなかったのよ」
「……それについては、わかったわ。じゃあ、コータローさん……もう1つ訊かせて頂戴……」
「何でしょうか?」
「5日前……貴方とウォーレン様が私達のパーティを治療し
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