Lv43 魔窟からの帰還( i )
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こそ、そんなに気にしなくていいですよ。それに、実は俺も、ラッセルさんには感謝してるんですから。ここで、このラパーニャという料理を食べる事が出来て、凄く懐かしい気分になれましたからね」
「へ? そうなのですか?」
「ええ。このラパーニャ、実は俺の故郷の料理と似ているんですよ。それになんといっても美味いじゃないですか。このふんだんに使われた魚介類なんか……も……!?」
俺はそこで言葉を止めた。
なぜなら、辻褄が合わない引っ掛かりを覚えたからだ。
と、ここで、給仕の声が聞こえてきた。
「ご注文の品は以上になります。また追加があれば御呼びください。では、ごゆっくりと」
「ちょっと待った!」
俺はそこで給仕の子を呼び止めた。
「は、はい……なんでございましょうか?」
少し大きな声だったので給仕はびっくりしていたが、俺は構わず続けた。
「忙しいときに呼び止めて、ごめんね。少し訊きたい事があるんだよ。……この料理に使われている食材は、どこで仕入れてるのかわかるかい?」
「ああ、この魚や貝ですか。それはラスティーアの鮮魚市場だと思いますけど」
ラスティーア……俺達がさっき帰ってくる時に通った、城塞東門がある商業区の名前だ。
(どういう事だ、一体……)
とりあえず、質問を続けよう。
「ラスティーアの鮮魚市場って事は、これらはアウルガム湖から水揚げされたモノなのかい?」
「はい、だと思いますよ。この料理に使われている魚はアウルガム湖で一番よく獲れる魚ですから」
「いつ獲れたモノかわかるかい?」
「ラパーニャに使われている食材は、鮮度の良い魚介類を使っている筈なので、多分、今朝がた獲れたモノじゃないんでしょうか」
「へぇそうなんだ。でも噂では、アウルガム湖の水揚げ量が減っているって聞いたんだけど、そんな影響はでてないのかな?」
「ああ、そういえば、最近、魚が取れなくなってきているとは聞いた事がありますね。でも、ラパーニャの値段は変わりませんから、仕入れ値が上がるほど減ってはいないんじゃないでしょうか」
「料理の値段も変化なしか……。ところで、ここ最近、王都以外で魚が大漁に獲れたとかって話、どこかで聞いた事あるかい?」
給仕は暫し考える仕草をすると、ポンと手を打ち、話してくれた。
「ああ、そういえば! アムートの月に入りかけた頃、北のウィーグ地方から来た冒険者の話を聞く事があったんですが、その時、嘗てないほど魚が獲れて、町は大賑わいといった話を聞いたことありますね」
「ちなみに、その町の名前って何ていうの?」
「え〜と……何だったかしら……確か、イスタドって言ってたような……多分、そんな名前だったと思います」
「そうか。ありがとう。質問は以上だよ。ごめんね、急に呼び止めて。仕事、頑張ってね」
「はい、ありがと
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