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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv42 グァル・カーマの法
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うも仰られた。このグァル・カーマの法の結果如何によっては、お主等エンドゥラスに、アヴェラスにおける最高の地位と名誉を与えるつもりだとな。この言葉を真摯に受け止めるのだ。精一杯励むがよいぞ】
【有難きお言葉】
【さて、では始めるがよい】
【ハッ!】――

 ジェバは祭壇の前へと移動すると、魔法陣へと向き直り、大きな声で告げた。
【ではこれより、グァル・カーマの儀式を執り行なう。器を魔法陣へと持ってくるのだ】
 その直後、大空洞内に、泣き喚く怯えた声が響き渡った。
【は、離せェェェ】
【女神イシュラナ様ッ、お助けをッ。我等を救ってくださいィィィ】
 俺は驚きのあまり、目を見開いた。
 なぜなら、大空洞に幾つかある空洞の1つから、裸にひん剥かれた2人の若い人間の男が現れたからである。
 2人は今、1本の丸太に吊られた、大きな鳥籠のような檻に入れられていた。
 またその檻を、前後にいる2体のトロルが運んでいるのである。それはまるで、時代劇に出てくる駕籠(かご)を運ぶかのようであった。
(チッ……予想はしてたが、器とはやはり人間だったか。助けてやりたいが、救出は不可能だ……)
 檻は魔法陣の前で降ろされる。
 魔物達は檻の中から2人を引っ張りだして、魔法陣の中心にある大きな台へと連れてゆき、その上で仰向けに寝かせた。
【ヒッ、ヒィィ。イシュラナ様ァァァ、お願いです! 助けて下さいィィ!】
【い、一体、な、何をするつもりだァァァ】
 2人の男は半狂乱になりながら叫んでいた。
 魔物達はそこで、2人の口に猿轡をして静かにさせ、手足を頑丈な拘束具で括り付けて、身動きできないよう台に固定していった。
 そして、作業を終えると、魔物達は2人を残して魔法陣から出たのである。
 と、ここで、ラッセルさんが俺に耳打ちしてきた。
「ア、アイツらは……行方知れずになっていた冒険者達です……ど、どうしましょう?」
「今は黙っていてください……」
「しかし……」
「彼等を助けるのは……この状況ではもう不可能です。悔しいですが……どうにもなりません。ここでバレたら俺達は一環の終わりです。今は……堪えてください」
 ラッセルさんは無言で頷く。
 と、その時である。

 ―― カチャ ――

 なんと、ラッセルさんの隣にいるリタさんが、剣に手を掛けたのであった。
(ちょッ! 空気読めよッ! ここでそれはやめてくれッ!)
 俺は魔導の手を使い、剣の柄を握るリタさんの手を押さえ込んだ。が、しかし、尚も彼女は剣を抜こうとする。
 俺は埒があかないと思い、彼女に耳打ちした。
「……リタさん。駄目です。ここは抑えてください」
 リタさんも小声で返す。
「こ、このまま黙って見殺しにしろって言うのッ!? そんな事、私にはできないわッ!」
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