Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
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」
「客?」
そこで女性は俺を指さした。
「あの方が、用があるそうですよ。何でも、クリーストの件で相談があると仰ってますが」
「クリーストの件!?」
オッサンはハッとした表情になる。
その直後、オッサンは慌てて襟を正し、俺の方へと近づいてきたのだ。
「お見苦しいところをお見せてしまい、大変申し訳ありませんでした。私がルグエン・シーバスになります。ええっと、クリーストの件で相談があると今聞きましたが、間違いないですかな?」
俺は頷くと、ヴァロムさんの指示にあった言葉を告げる事にした。
「実はですね、祖父の余命がもう僅かだと医者から言われたのです。父から、ルグエンさんにクリーストの件について相談して来いと言われたので、今日はお伺いさせてもらった次第であります。今、お時間の方はよろしいでしょうか?」
「そうですか……。では立ち話でもなんですので、上で話を聞きましょうか。こちらです」――
俺は2階のとある扉の前に案内された。
ルグエンさんは早速、その扉を開く。
するとその先は、真っ暗な空間となっていた。
「では少々お待ちください。今、明かりを灯しますんで」
ルグエンさんはそう言って、ラングと呼ばれる火を起こす道具を取り出した。
話は変わるが、この国で火を起こす方法は、このラングが一般的みたいだ。
形状を簡単にいうと、ZIPPOライターを大きくしたようなもので、原理的にはオイルライターと呼べる代物だ。
魔法の使えない者でも、簡単に火を起こせるので、ここでは生活必需品だそうである。
というわけで話を戻そう。
ラングの明かりを頼りに、ルグエンさんは部屋の中へ入り、中央のテーブルにある燭台に火をつけた。
その瞬間、部屋の様相が露わになる。
そこは木製の四角いテーブルと4脚の椅子だけという、飾りっ気のない質素な部屋であった。
おまけに窓も無い。多分、人に聞かれたくない話をする為の部屋なのだろう。
ルグエンさんは明かりを灯すと、テーブルの椅子を引き、俺に座るよう促してきた。
「さて、それでは、こちらにお掛けになってもらえますかな」
「では失礼します」
俺が椅子に座ったところで、ルグエンさんは入口の扉を閉め、対面に腰を下ろす。
そしてトーンを少し下げ、静かに話し始めたのである。
「クラウス様から話は聞いております……。クリーストの件について相談に来る者が現れたら、すぐにクラウス様の元にお連れするようにと」
「ではお願いできますか?」
するとルグエンさんは、少し渋った表情になったのである。
「そうしたいのは山々なんですが、実はですね、クラウス様は今、ラヴァナ執政院にはおられないのです。ですから、少し待ってもらいたいんです」
「いない?」
「はい……今日はヴァロム様
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