Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
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は想定の範囲内なんだろう……)
御者のオッサンは話を続ける。
「まぁそんなわけで、今もイシュマリア司法院とイシュラナ神殿側で話し合いが続いている真っ最中らしいんでさぁ」
「じゃあ、もう時間の問題って事ですかね」
「と思いやすぜ。ですが……あっしはねぇ、魔炎公ヴァロム様が王家と神殿に対し、不敬を働いたって話が、今でも信じられねぇんでさぁ」
「信じられない?」
「へい。あの方はですね、アズラムド王の親友でもあり、全幅の信頼を寄せる稀代の宮廷魔導師と云われるほどの御仁って聞きます。なもんで、そんな事を本当にあの方がなさったのかと、今でも下々の民は首を傾げているんでさぁ。旦那も、そう思いやせんか?」
(そういやヴァロムさんは、不敬罪で地下牢に入れられてるんだったか。本当のところはどうなんだろ……。でも、有力貴族を適当な理由で拘束したとも思えないから、本当に不敬を働いた可能性があるんだよな。ヴァロムさんなら、その辺は計算づくでやりそうだし……。まぁいいや。とりあえず、今は置いておこう……)
俺は適当に話を合わせておいた。
「まぁ確かに、少し首を捻りたくなる話ですね」
「そうでさぁね。それに、ここ最近は陛下の御様子も変だって噂ですし、あっしは妙な胸騒ぎがしてならねぇんです。おまけに街の外じゃあ、凶悪な魔物も増えてるっていうじゃねぇですか。皆、顔には出さねぇですが、あっし等、下々の民は、不安でしょうがないんでさぁ。このままじゃあ、ラミナスみたいな事になりそうで……」
御者の男はそう言うと、大きく溜め息を吐いた。
恐らく、これがラヴァナの住民達の本音なのだろう。
大半の住民達が、不安の中で生活してるに違いない。
俺はそこで、前方にいる沿道に詰めかけた住民達に視線を向けた。
遠目で見ているので表情まではよくわからないが、住民達は皆、イシュラナの紋章を空に切り、両手を組んで必死に祈り続けていた。
住民達は今、すがるような気持ちで、女神に祈りを捧げているのかもしれない――
[U]
ヴィザーク地区の中央にある大通りの交差点付近で馬車を降りた俺は、ラヴァナ環状通りをガヴェール工業区方面へと向かって歩き続けた。
古びた石造りの建物が沢山軒を連ねる環状通りを暫く進んでゆくと、目的の建物らしきモノが見えてきたので、俺はその建物の前で立ち止まった。
そこは、やや薄汚れた茶色い建物で、玄関扉の横には小さな木の看板が掛かっていた。
看板にはこの国の文字でこう書かれている『イシュマリア司法院認可・司法代書人 ルグエン・シーバス』と……。
ちなみに2階建ての四角い石造りの建物で、それほど大きくはない。というか、小さい。日本でも時々見かける小さめのキューブ型住宅程度の大きさである。
(ヴァロムさんの指示だと
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