Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
[4/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
納得いかねぇ……。宗教のトップは、ジジイじゃねぇとしまんねぇだろ!)
などと思っていると、そこで、御者のオッサンの声が聞こえてきた。
「ここ最近、魔炎公の件があってからというもの、こういう事が多いんでさぁ」
「投獄されたって話の事ですか?」
「へい。これも多分、それ絡みだと思いますぜ。今日もまた、イシュマリア司法院側とイシュラナ大神殿側とで、異端審問の採択を巡る継続審議をするんじゃないですかね」
イシュマリア司法院……。
ヴァロムさんの指南書に出てきた名前だが、ニュアンス的に、多分、日本の法務省にあたるところだろう。
「へぇ、そうなのですか。イシュラナ大神殿も色々とバタバタしてるんですね」
「そうでさぁ。ですが、それも、もうそろそろ終わるって話ですぜ」
「終わり? なぜですか?」
「いやね、あっしも噂で聞いたんですが、司法院側と大神殿側の継続審議も、そろそろ大詰めを迎えるって話なんでさぁ。しかも、火炙りの刑ってことで9割がた結論が出ているみたいですぜ」
火炙りの刑……つまり殺されるって事だ。
事の真偽はわからないが、急いだ方がいいかもしれない。
「じゃあ、近いうちに、刑が執行されるかもしれないってことですか」
「かもしれやせんね。まぁ噂では、ヴォルケン法院長が首を縦に振れば、もう決まりって話ですぜ」
「法院長が了解すれば?」
「へい。この間、チラッと耳にしたんですが、イシュマリア司法院を統括するヴォルケン法院長が、それに難色を示してるらしいんでさぁ。なもんで、ヴォルケン法院長が了承すれば、もう刑は執行されるとみていいんじゃないですかね」
「それは初めて聞きました。なるほど」
ヴォルケン法院長……ここでこの名前が出てきたか。
この人もヴァロムさんの指南書に出てきた名前だが……とりあえず、今は知らんフリをしておこう。
「でも、法院長がいくら反対したところで、イシュラナ神殿側の決定を覆すのは難しいんじゃないのですか?」
「しかし、旦那。この国に仕える有力貴族の断罪は、イシュマリア司法院が最終判決を下すことになってるんでさぁ。なもんで、イシュラナ神殿側もそこは尊重してるみたいですぜ。まぁそうはいっても、ヴォルケン法院長を含む4名の法務官の内、2名が、イシュラナ神殿側の決定に従う姿勢を見せてますんで、判決が下されるのは時間の問題だと言われてまさぁね」
「ふぅん……。じゃあ、ヴォルケン法院長の権限で、辛うじて踏みとどまっている状態ってことか」
「みたいですぜ」
なるほどね……なんとなく今の状態がわかってきた。
どうやら、このイシュマリア司法院だけが、イシュラナ神殿側の決定に抗える、唯一の機関なのだろう。
(つまり……ヴァロムさんの命は、首の皮一枚で繋がっているって事か。だがこれも、ヴァロムさんにとって
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ