Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
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者と相場が決まっておりますんでさぁ」
「ふぅん……なるほどね」
そういえば指南書にも、ヴィザーク地区はラヴァナ執政区だと書いてあった。
まぁ早い話が、役所関連の施設が多い区域なのだろう。
これから想像するに、この国の代書屋も、日本で言う行政書士や司法書士みたいな仕事をしてるに違いない。
そういえば以前、ヴァロムさんも言っていた。文字の読み書きが出来ない者も、結構いるみたいな事を……。
もしかすると、この国の識字率は低いのかもしれない。
まぁ中世のヨーロッパも、かなり識字率が低かったらしいから、案外、それが普通なのだろう。
その後、馬車は通りを右折し、ラヴァナ環状通りを真っ直ぐ進んで行った。
俺は暫しの間、流れ行くラヴァナの街並みをぼんやりと眺め続ける。その間、俺達は無言であった。
視界に入ってくるラヴァナの街並みは、朝だというのにかなり活気に溢れていた。貴族のように着飾った者はいないので、アリシュナのように品のある雰囲気ではないが、こういう庶民的な雰囲気も捨てたもんじゃないなと俺は思った。
そんな街の様子を眺めていると、御者席からまた声が聞こえてきた。
「旦那、この辺りからヴィザークになりますが、どの辺りまで行きますかい?」
俺はそこで見取り図に目を落とした。
「そうですね……では、もう少し進んでくれますか。目的の場所に近づいたら、指示しますんで」
「へい、わかりやした。って、あらら……こりゃまた、面倒な時に来ちまったもんだ」
オッサンはそういうや否や、馬車のスピードを弱めたのである。
「どうしたんです。何かあったんですか?」
「すいやせん。少しの間辛抱してくだせぇ。どうやら、今丁度、イシュラナ大神殿にアズライル猊下が降りてきているみたいなんです。なもんで、西の大通り交差点は、一時的に通行止めになってるんでさぁ」
「猊下が?」
「へい。横の窓から顔を出してもらえば見えますぜ。あそこでさぁな。今、馬車から手を振っている方が猊下ですぜ」
俺は車窓から顔を出し、御者の指さす方向に視線を向けた。
すると、沿道に詰めかけた住民達に見守られながら進む、イシュラナの神官達の大行進が視界に入ってきたのである。
大半は白い神官服の者達であったが、赤や緑や青といった高位の神官服を纏う者達の姿も確認できた。
そして、それらの行列の中に、煌びやかな金色の馬車が通るのを俺の目は捉えたのである。パッと見は、霊柩車かと思うくらい金ピカであった。
また、その馬車の窓からは、美しい顔立ちをした銀髪の美青年が顔を出しており、今は沿道の住民達に向かって、爽やかに微笑みながら、手を振っているところであった。
(へぇ、あれがアズライル教皇か……思ったより若いな。おまけに爽やかな美丈夫ときたもんだ。チッ……なんか
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