Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
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男は丁寧な所作で扉を開き、俺に中へ入るよう促してきた。
「さぁどうぞ、中へ」
「では失礼します」――
俺が部屋の中へと入ったところで、扉はゆっくりと閉められた。
そこで俺は室内をサッと見回す。
すると中は青い絨毯が敷かれた、落ち着いた感じの部屋であった。
広さは20畳程度で、壁際には本棚や絵画、壺等の美術品が飾られている。それらは何れも派手さはないが、落ち着いた感じの気品ある品々ばかりであった。
部屋の奥に目を移すと、そこには黒塗りの立派な書斎机があり、その手前には来客用と思われる白いソファー2脚と、磨き抜かれた大理石の四角いテーブルが置かれていた。
書斎机には、青と白の法衣を身に纏う、白髪混じりの長い髪の男が1人おり、今は書類のようなモノに目を通しているところであった。
見た感じだと、歳は50代から60代といったところだろうか。
体型は中肉中背で、口元や顎に白い髭を生やしており、額や目尻には幾つかの皺が刻まれている。穏やかな目付きをしており、パッと見は、人の良さそうな雰囲気を持つ男であった。
物静かな政治家。それがこの男から受ける、俺の第一印象であった。
俺が執務室の中へと入ったところで、男は手を休め、こちらへと視線を向けた。
「では、まず、そなたの顔を見せてもらおうか。確認をしたいのでな」
俺はローブのフードに手をかけ、ゆっくりと捲り上げた。
素顔を晒したところで、男は上から下へと目を這わす。
すると、男は笑みを浮かべ、静かに口を開いたのである。
「どうやら間違いないようだ。失礼した」
「どういう意味でございますか?」
「事前に使者の特徴を聞いていたので、それを確認させてもらったのだよ。ヴォルケン法院長からは、アマツの民のような外見の若い男が、使者として訪れると聞いていたのでな」
「なるほど、そういうことでしたか」
どうやらヴォルケン法院長という方は、ヴァロムさんから粗方の説明は受けているのだろう。
もしかすると、ヴァロムさんが何をしようとしているのか、知っているのかもしれない。
ふとそんな事を考えていると、男は自己紹介をしてきた。
「さて、では名乗らせてもらおう。我が名はクラウス・インバルト・モードヴェン。ラヴァナを統括する執政官である」
「私はコータローと申します。クリーストの使者としてこちらに参りました。よろしくお願い致します、クラウス閣下」
「うむ、こちらこそよろしく頼む。では、そこの長椅子に掛けられよ。私もそこで話すとしよう」
「ではお言葉に甘えまして」
俺はソファーに腰かけた。
続いてクラウス閣下も俺の対面に腰を下ろす。
そして俺達は密談を開始したのである。
クラウス閣下は周囲を少し気にしながら、小声で話し始めた。
「
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