Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
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ラウス様の秘書に話を通して参りますので」
「わかりました」
そしてルグエンさんは、執政院の中へと入っていったのである。
それから20分程経過したところで、ルグエンさんは白いローブ姿の若い男と共に、俺の前へとやって来た。
歳は20代半ばといったところで、若いのと眼鏡をかけている事以外、取り立てて特徴のない男であった。恐らくこの男が秘書なのだろう。
ルグエンさんは男に言った。
「この方がクリーストの件について相談に来られた方でございます」
すると、男はそこで、俺に質問をしてきたのである。
「不躾な質問をさせて頂きますが、貴殿は真実を見抜く神を御存じであろうか?」
俺は指南書の通り答えておいた。
「太陽神の事ですかな」
すると男は、そこでルグエンさんに振り返り、白い巾着袋を差し出したのである。
ジャラッという金属音が聞こえてきたので、多分、中身はゴールドだろう。謝礼ってやつに違いない。
「ご苦労でした。ではこれを」
ルグエンさんはその袋を受け取ると、男に深々と頭を下げる。
そして役目は終えたとばかりに「私はこれで」とだけ告げ、この場から足早に立ち去ったのである。
ルグエンさんの姿が見えなくなったところで、男は口を開いた。
「……では参りましょう。こちらです」
男は執政院の表の入り口ではなく、裏にある勝手口へと俺を案内する。
ちなみにそこは、警備の衛兵がいない所であった。
そして、その勝手口から、俺達は執政院の中へと入ったのである。
今の俺はフードを深く被る怪しい姿なので、流石に表から堂々と入るわけにはいかなかったのだろう。
俺は男の後に続き、人通りのない赤い絨毯が敷かれた通路を無言で進んで行く。
すると、程なくして男は、イシュマリア王家の紋章が彫りこまれた厳かな扉の前で立ち止まったのであった。
佇まいを見る限り、ここがクラウス執政官のいる執務室なのかもしれない。
だが、そう思うと同時に、俺は少し違和感を覚えた。なぜなら、こういう立派な扉につきものの、ある存在が見当たらないからだ。
俺はそこで床へ視線を向ける。すると思った通りであった。
床に敷かれた柔らかい絨毯の上には、2人分の足跡が残っていたのである。
足跡は扉の両脇に立つような感じであった。ここから推察するに、恐らく、警備する衛兵のモノだろう。ついさっきまで、ここに立って警備していたに違いない。
(途中、誰とも擦れ違わなかったので不思議だったんだよな。多分、人払いをしたんだろう……)
まぁそれはさておき、男はそこで扉を「コンコン」とノックした。
中から、低い男の声が聞こえてくる。
「誰だ?」
「クラウス様。スロンでございます。クリーストの使者をお連れ致しました」
「お通ししろ」
「ハッ」
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