Lv40 ヴィザーク・ラヴァナ執政区(i)
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と、そこで、客がいない1台の小さな馬車に目が止まったのである。
見た感じだと、人力車を少し大きくしたような馬車で、定員にしてギリ2名といったところだろうか。
周囲の馬車と比べると、かなり小さい部類である。
御者席に目を向けると、暇そうにパイプをふかす、カウボーイみたいな格好をしたオッサンがいた。オッサンは今、パイプをふかしながら、前の通りをぼんやりと眺めているところだ。
(……モロに客待ちって感じだな。少し小さい馬車だけど、どうせ俺1人だけだし、あれでいいか。とりあえず、あの馬車と交渉してみよう……)
俺は馬車に近寄り、オッサンに声をかけた。
「あの、すんません。ヴィザーク地区までお願いしたいんですけど、出せますかね?」
オッサンは驚いたのか、パイプを落としそうになりながら、慌ててこちらに振り返った。
「おわッ!? おととと、きゃっ、客か。悪い悪い。で、どこに行くんだって?」
「ヴィザーク地区です」
「ン、ヴィザークですか。……ここからだと少し遠いんで、料金は15ゴールドになりやすが、それでもいいですかい?」
(安っ……やっぱアリシュナは高いなぁ。まぁ馬車自体が高級感あるし、しゃあないか)
まぁそれさておき、俺は返事をした。
「ええ、構いませんよ」
「なら交渉成立だ。乗ってくんな」
「ではお願いします」
馬車に乗り込んだところで、俺はオッサンに言った。
「出してもらえますか」
「では行きやすぜ、出発進行〜、ハイヤッ!」
そして馬車は、オッサンの陽気な声と共に、静かに動き始めたのである。
馬車が動き始めたところで、俺は王都の見取り図を広げ、自分の現在地を確認することにした。
ちなみにこの見取り図は、ヴァロムさんの指南書に同封されていた物を、俺が日本語で書き直した物だ。
<i6973|23211>
(……もう少し進むと、アーウェン商業区へと続く大通りの交差点に出るな。そこを右折して、あとはラヴァナ環状通りを暫く進めば、ヴィザーク地区か……。問題はどの辺りで馬車を降りるかだが、ルグエンという代書屋はヴィザーク地区の少し外れた位置に居を構えていると、ヴァロムさんの指南書に書いてあった。ここは用心の為、その少し手前辺りで降りた方がいいか……)
ふとそんな事を考えていると、御者席にいるオッサンが俺に話しかけてきた。
「ところで旦那、ヴィザークには何の用ですかい?」
(だ、旦那……。そんな風に言われたの初めてやわ。まぁそれはともかく、適当に流しとこう)
「野暮用です」
「へへへ、やっぱり、野暮用ですかい」
「やっぱり?」
意味が分からん。
「へい。あの辺りは、ラヴァナの執政区になりますんでね。あそこに用がある者と言えば、お上にお伺いを立てに行く者か、イシュラナ大神殿に用がある
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