Lv39 アリシュナでの密談
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……それは本当かッ!? どこにそんな形跡があったんだ?」
「あの紋章が描かれている正面の壁と床の境目ですよ。そこに壁が上がったと思われる形跡がしっかりと残っておりました」
ミロン君がここで声を上げた。
「あ、そうか! あの挟まった落ち葉が、その証なんですね」
俺は頷いた。
ようやく気付いてくれたみたいだ。
アヴェル王子が訊いてくる。
「なんですか、その挟まった落ち葉というのは?」
俺はそこで、懐から1枚の黄化した葉を取り出し、テーブルの上に置いた。
「壁と床の間に挟まっていたのは、これと同じ種類の落ち葉です。外から入ってきた落ち葉が、壁と床の間に挟まるという現象は、普通有り得ませんからね。ですから、あの壁が動いたとみて、ほぼ間違いないと思いますよ」
「なるほど……確かに、コータローの言うとおりだ。落ち葉が自然に、壁と床の間に挟まるなんて事は、まずあり得ないな」
「ええ、有り得ません。それとですね、この黄化した落ち葉は、壁が上がった事を証明するほかに、もう1つ別の事も語っているんですよ」
「別の事?」
「ええ。この落ち葉は、こう言ってるんです。……壁が上がったのは、それほど前ではないという事を」
3人は俺の言葉を聞き、落ち葉を凝視した。
ウォーレンさんは落ち葉を手に取り、ボソリと呟く。
「まだ完全に枯れていないところを見ると、確かに、そんなに前ではない。そうか……だからコータローはあの時、ハーディン隊長にあんな事を質問していたのか……」
「ええ、だからです」
アヴェル王子が訊いてくる。
「……コータローさんはどう考えているのですか? ハーディン隊長は、アズライル猊下の一団が我々の前にやって来たと言ってましたが、浄界の門を開いたのはアズライル猊下だと?」
「いや、その辺はまだ何とも……。可能性はあると思いますが、断言はできません。確実な証拠がありませんからね」
一応、そう答えたが、7割方はそうだろうと考えていた。
なぜなら、あの島の厳戒体制を考えると、外部からの侵入は難しいと言わざるを得ないからだ。つまり、浄界の門を開いたのは、あの島に上陸しやすい者の可能性が高いのである。
そして更に、浄界の門を一番開けやすい条件となると、魔の島にすんなりと上陸できる人物であり、警備する魔導騎士や神官達が怪しむ事など全くない、身元のハッキリとした地位の高い人物、それから遺跡に入る為の鍵を自由に持ち出せる立場の人物であって、立会人である神官達が逆らえない人物で、それでいて、王族に影響力がある人物が、一番可能性が高いのだ。
要するに、今のところそれらの条件に適合する訪問者は、アズライル猊下の一団だけなのである。
それだけじゃない。浄界の門が開かれたと仮定してあの部屋の状況を考えると、入り口の扉が開いて
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