Lv39 アリシュナでの密談
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すか?」
「いや、本当に知らない。つーか、古代リュビスト文字も俺は読めないしね。だから、さっきの遺跡では何が何やらサッパリだったんだよ。なんつーか、その……意味不明? みたいな……」
「そ、そうなんですか。なんか不思議な方ですね。コータローさんて……」
ミロン君はそう言って、微妙な表情を俺に向けた。
どうやら、俺はまたもや、この国における一般常識の欠落を露呈してしまったようである。残念!
まぁそれはさておき、アヴェル王子が仕切り直しとばかりに、俺に話しかけてきた。
「それはそうとコータローさん、話は戻りますが、魔の神殿がデインを必要としている事について、貴方はどう思われますか? 是非、貴方の意見を聞かせてもらいたい」
また難しい事を訊いてくるな。
仕方ない。とりあえず、あまり深い話はしないでおこう。
「私が今考えられるのは3つの可能性だけです。まず1つ目は、あの石碑が嘘を言っているという可能性。2つ目は、イシュラナか、もしくはイシュラナ神殿側が嘘を言っているという可能性。そして3つ目は、私達の解釈が間違っているという可能性です。しかし、今はこれらの疑問に対して確実な決断を下せる材料がありません。ですから、それらを裏付ける証拠でも出てこない限り、問題は解決しないと思いますよ。まぁ、これが俺の意見です」
俺がそう告げた瞬間、3人は無言になった。
だが程なくして、ウォーレンさんとアヴェル王子の笑い声が、室内に響き渡ったのである。
「フハハハ。コータローはハッキリと言ってくれるな。お蔭でスッキリしたよ」
「ああ、ウォーレン。やはりコータローさんは思った通りの方だ」
意味が分からんので、俺は訊ねた。
「あのぉ、どういう意味ですか?」
「決まっている。今言った2つ目の言葉は、ここに住む者なら、躊躇する言葉だからだよ。普通は中々言えない言葉だ」
それを聞いた途端、俺はサァーと血の気が引いた。
(ヤ、ヤバ……よく考えたら、コレって思っきり異端者発言やんけ……ちょっ、どうしよう……)
俺の表情を見て察したのか、ウォーレンさんは頭を振った。
「心配するな。密告したりはしない。俺もどちらかというと、イシュラナ神殿にはよく思われてない方だからな」
「それを言うなら、俺の方はもっとだ。というか、今日の一件で、俺に対するイシュラナ神殿側の覚えは最悪になっただろうから、多分、次の国王はアルシェスで決まりだな。ハハハ」
2人は腕を組みながら、豪快に笑っていた。
しかもアヴェル王子はいつの間にか、人称が私から俺に変化していたのである。
どうやら、これが素の姿なのかもしれない。
そして俺とミロン君は、若干引き気味に、そんな2人を見ていたのであった。
(なんなんだこの人達は……イシュラナ神殿の事が嫌いなんだろうか)
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