Lv37 魔の島(i)
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はどうも、俺と一緒にいると安心して寝れるそうなんです。だから、あんな事になっているわけでして」
「ハッハッハッ、心配するな。やましい事をしているなんて思ってはいない。お前からは、そういう色と欲を好む雰囲気が、あまり感じられんからな」
「とはいっても、俺も男ですからねぇ。流石に、年頃の可愛い女性が隣にいると、悶々とする時だってありますよ。まぁ太守の娘さんなんで、そんな事は絶対に出来ませんけどね。でもその所為で、ゆっくり寝れない日々が続いてましてね、俺も困っているんですよ。ふわわぁぁ」
と言いながら、俺はまた欠伸をした。
「まぁそりゃそうか。だが、『女に頼られる男は、有能な男』という言葉がこの国にはある。だから、そう悲観する事でもないぞ。裏を返せば、お前は有能な男という事かもしれんのだからな」
「だといいんですが……。ところでウォーレンさん、この馬車の後ろにいる、濃い髭を生やした方は一体誰なんですか? 何となく雰囲気的に、只者ではない感があるんですけど」
俺はそこで、この馬車の後方にいる、キリストのような髭を蓄えた男へと視線を向けた。
男は騎士のような格好をしており、今は馬に跨って付いて来ている最中である。
時折吹き突ける風と馬の振動で、肩よりも長い、サラッとした男の赤い髪が風と共に靡く。
男がイケメンな事もあり、かなり絵になる光景であった。
おまけに、男が装備する磨き抜かれた白銀の鎧や、厳かな意匠が凝らされた白い鞘に収まる長剣は、素人の俺が見ても高級装備とわかる代物だった為、かなりやり手の騎士にも見えたのである。
「ん? あ、ああ……あの男か。あれはヴァリアス将軍の側近でな、ハルミアという名の騎士だ」
「へぇ、側近の方なのですか……。では、あの方も、遺跡での実験に参加されるのですね」
「ああ、それで来てもらったのだからな」
「そうですか」
どうやらあの騎士は、遺跡での実験の為に呼ばれたようだ。
(一体何をさせるつもりなのだろうか……。この間の説明だと、魔法を使える者を必要としているように聞こえたが……まぁいい……あまり詮索しないでおこう。俺は自分の出来る範囲の事だけしとけばいいんだし。さて、それよりも問題なのは、ヴァロムさんの次の指示だ。はぁ……頭が痛い)
そうなのである。
実を言うと俺は、遺跡の事よりも、そっちの事で頭を悩ませているのであった。
グランマージで受け取った筒の中に、今後について書かれた指南書のような物が入っていたのだが、それには非常に面倒な事が幾つか書かれていたのだ。
(はぁ……まずは、ラヴァナ・ヴィザーク地区に住む代書屋のルグエンという人物の所に向かうんだったな。ああもう……面倒臭い事ばっか続くなぁ……ン?)
ふとそんな事を考えていると、ウォーレンさんが首を傾げて俺を見ていた。
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