Lv36 邂逅の酒場・ルイーダ
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たものね。私達もそのお陰で酷い目にあったし。しかも最近じゃ、イシュマリア城内の様子も変だって言うしね。ほんと……どうなっちゃうのかしらね、この国は……」
「オルドラン家のヴァロム様が投獄されたという件ですか?」と、俺。
「まぁそれもだけど、王様の様子もおかしいって噂だし、おまけに、次期国王と言われているアヴェル王子も、やる気がないのかフラフラしてるっていうからね。この国の先行きが、本当に不安だわ」
「国王だけでなく、王子の様子も変なのですか?」
「アヴェル王子は元からよ。でも、幾ら王位継承権第1位とはいえ、フラフラとやる気がないんじゃねぇ……。今では、弟君のアルシェス王子の方が、国王になるのではないかという噂よ。アルシェス王子もデインを使えるしね。それに教皇や大神官達からの評判も上々みたいよ」
「え? 継承順位を飛ばすなんて事できるんですか?」
これにはミロン君が答えてくれた。
「この国の王位継承は、建国以来、戴冠式の前に教皇から事前承認を得るのが習わしなのです。ですから、アズライル猊下が望まぬ場合は、そういう事もあり得るかも知れませんね。とはいえ、今までそんな事は無かったそうですが……」
「へぇ、そうなんだ。教皇って凄い権力もってんだね。王位継承にまで影響力あるなんて」
「そうなのよ。だから、影の王と言う者までいるわ」と、マチルダさん。
「影の王ですか……」
そういえば以前、聞いた事がある。
中世ヨーロッパでも皇帝に即位となると、神から冠を戴くという名目を得る為に、教皇の承認を得ていたような事を。
今の話を聞く限り、恐らく、それに近い宗教儀礼なのだろう。
「ふぅん。ところで今、デインという名前が出てきましてけど、その魔法を使える王族って、他にもいるんですかね?」
マチルダさんは頷く。
「ええ、いるわよ。王は5人の子供を授かったのだけど、確かその内の3人が、デインを使える筈よ」
「デインを使えるのは、アヴェル王子と弟君のアルシェス王子、それから次女のフィオナ王女ですね」と、ミロン君。
フィオナ王女……確か、ピュレナで沐浴の泉を見学しに行ったときに遭遇した、あの綺麗な女性だ。
あの子もデインを使えるみたいである。
「王様以外に3人もデインを使えるのか。思ったより多いね」
ミロン君は頷く。
「過去に例がないそうですよ。今までだと、デインを使える王位継承候補者は、多くても2人だそうですから。なので、アズライル猊下や大神官達も、それを知って大変驚いたそうですよ」
「へぇ……ン?」
と、その時であった。
【ラッセル!】
またラッセルさんの名を呼ぶ声が、近くから聞こえてきたのである。
俺達は声の聞こえた方向に視線を向けた。
するとそこには、青いの鎧に身を包む、口髭をはやした男前な戦士
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