Lv36 邂逅の酒場・ルイーダ
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きたその男から、もっと面白い話を聞けたのさ。あの辺りにある洞窟のどこかに、大盗賊バスティアンの隠した財宝が眠っているという噂は、お前達も聞いた事があるだろう?」
するとシーマさんは、溜息まじりに言葉を発した。
「でも、それってあくまでも噂でしょ。今までその噂を信じて馬鹿を見た冒険者は数知れないわよ」
「だが今度は少し事情が違う。なぜなら、逃げ帰った男が、こんな物を持って帰ってきたんだからな」
バルジさんはそう告げた後、懐から布に包まれた細長い物体を取り出し、テーブルの上に置いたのである。
そして、バルジさんは布を解き、周囲の者達に見えないよう注意しながら、俺達に中身を見せたのだ。
包まれていたのは、眩い光を放つ金の延べ棒であった。
ラッセルさんはそれを凝視すると、驚きのあまり目を見開いた。
「……こ、これは……第33代国王・アルデバラン王の刻印……1000年前の金塊じゃないか。どこでこんな物を?」
「その男はこう言っていた。洞窟内に隠れて潜んでいた時、魔物達が沢山の財宝を発見したのを見たとな。そして、魔物達の目を盗んで、これを幾つか持ち帰ってきたと。どうだ、ラッセル? 俄然、興味が湧いてきただろう」
「本当なのか?」
「ああ、本当だ。大盗賊バスティアンが、この辺りを荒らしまわっていたのが1000年前という事を考えると、見事に合致する。これは行ってみる価値があると思わんか?」
「大盗賊の財宝……」
ラッセルさん達3人は、テーブルに置かれた金塊を食い入るように見つめながら、ボソリとそう呟いていた。
10秒程、無言の時間が過ぎてゆく。が、暫くすると、ラッセルさんは頭を振り、項垂れるように口を開いたのであった。
「残念だが……俺達は今、面子が足りない。特に魔法を使える者がいないんだ。フェリクスがあんな事になったから、エレンも来るとは言わないだろう。やはり、引受けるわけには……」
「ならコータローさんがいるじゃないか」
「はへ、俺?」
無防備で話を聞いていた為、俺は思わず気の抜けた声を上げてしまった。
「バルジ、コータローさんは駄目だ。コータローさんは、俺達とは違うパーティの方なんだから」
「そうなのか。ではコータローさん達はどうだ? といっても、討伐隊の参加資格は金の階級以上のパーティになるが」
俺は正直に言う事にした。
「残念ながら、俺達のパーティは王都についた時点で解散してるんで、討伐隊には参加できませんよ。それに階級なんてない、急造のパーティですしね」
「なら丁度良い。どうだ、コータローさん? ラッセル達のパーティに加わって、一緒に討伐隊に入ってくれないか?」
この際だ。はっきりと断っておこう。
「全然、丁度良くありませんよ。得体の知れない魔物と戦うのは、心身が疲れるんで嫌なんです。ですから
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