Lv35 ラヴァナ・アーウェン商業区
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する。
「だから、お客さんが来てるわよ」
「客? ……わしにか?」
「そうよ。こちらの方が、マジェンタさんに用があると言ってるわよ」
「ふぅ……仕方ないの」
老婆は俺を一瞥し、だるそうに返事すると、こちらにやって来た。
「お若いの。わしがマジェンタじゃが、何か用かの? 魔法薬の調合なら、孫に話してくれた方が助かるのじゃがな」
俺は一言一句間違えないよう、ヴァロムさんの指示通りに言葉を紡いだ。
「オホン、実はですね。南から来た老紳士に、パデキアの根を調合した万病に効く薬が、こちらにあると聞いたのです。本当なのでしょうか?」
俺の言葉を聞いた瞬間、老婆の目は鋭くなった。
だがすぐに元の表情へと戻り、老婆は飄々と話し始めたのである。
「ホッホッホッ、御冗談を。パデキアは幻の薬草と云われる代物じゃ。一体、何処の誰にそんな事を聞いたのか知らんが、この店にそのような物などありゃせぬわ」
「そうですか。それは残念です。では、代わりに何か良い薬は無いでしょうか? 友人が病に倒れて大変なのです」
「良い薬のぉ……まぁ、色々あるにはあるが、万病に効く薬なんぞはない。で、その友人とやらはどんな症状なのじゃ?」
「それなんですが、実は原因不明の高熱に何日もうなされておりましてね。私も非常に困っているのです」
「ふむ。何日も高熱にうなされておるのか……それは不味いのぉ。ではちょっと待っておれ。解熱の薬を探して来よう」
「ありがとうございます」
そして老婆は後ろの扉を開き、中へと消えて行ったのである。
老婆がいなくなったところで、女性店員は首を傾げ、ボソリと呟いた。
「へぇ……おばあちゃんが自分で薬を探しに行くなんて珍しい事もあるもんね。いつも大概、私に探させるのに……。明日は雨が降るかも」
どうやら、老婆が薬を探すというのは、普段ならしない行動のようだ。が、今は下手な事は言わない方がいいだろう。
(とりあえず、黙って待つとするか……)
それから待つ事、約5分。
老婆は黒い茶筒のような物を片手に戻ってきた。
そして筒をカウンターの上に置き、商品の説明を始めたのである。
「長引く高熱なら、このソルという飲み薬がいいじゃろ。これは、わしが随分前に調合した物じゃが、まだ効果はある筈じゃ。中に説明書きが入っておるから、それを見て、お主の友人とやらに飲ませてやるといい」
「ありがとうございます。御代は幾らでしょうか?」
「ふむ、そうじゃな。5Gでよいぞ」
「わかりました」
俺は5Gをカウンターに置く。
「毎度あり。その友人が元気になるといいの」
と言って老婆は意味ありげに微笑んだ。
「ええ、本当に……」
恐らくこの老婆は、ヴァロムさんの事をよく知っているのだろう。
こんな事を頼むくらいだから、親し
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