Lv35 ラヴァナ・アーウェン商業区
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俺は馬車からひょっこり顔を出し、前方に目を向ける。
するとこの大通り沿いに、長方形の黒い看板が掲げられた、レンガ造りの赤い平屋店舗が視界に入ってきたのである。
ちなみにだが、黒い看板にはこの国の文字で『魔法薬専門店・グランマージ』と大きく書かれていた。非常にわかりやすい看板である。
「おお、あれか」
店舗の大きさはコンビニ程度なので、それほど大きくはない。が、この近辺では珍しいレンガ造りの建物なので、一際目を引く存在であった。しかも、結構繁盛しているみたいで、店に出入りする冒険者達の姿も、ここからよく見えるのである。
恐らく店内は、薬草や毒消し草などの魔法回復薬を仕入れる冒険者達で賑わっているに違いない。
(へぇ……良い感じの店だな。もっと地味なの想像してたよ。まぁそれはさておきだ。店の前にある大通りの路肩は空いているから、そこに馬車を止めてもらうとしよう。それとなるべくなら、俺1人で店に行きたい。ミロン君とラティには適当な理由をつけて、馬車で待っていてもらうとするか……)
というわけで、俺はミロン君に言った。
「ミロン君、すまないが、店の前で一旦馬車を止めて、待っていてくれるかい。すぐに戻ってくるからさ」
「わかりました。でも、なるべく早めに戻ってきてくださいね。この大通りは、あまり長い間、馬車を停車してはいけない決まりになっているんです。それに、ここはガラが悪い人達も多いので、絡まれると面倒なんですよ……」
この大通りは路駐禁止区域のようだ。どうりで空いてるわけである。
「ああ、長居はしないよ。薬を1つ買ってくるだけだからさ」
「わかりました。では、店の前で停車しますので、早めにお願いしますね」
ミロン君はスピードを弱め、店の前で馬車を止めてくれた。
そこで俺は立ち上がり、ラティにも言っておいたのである。
「ラティ、すまないけど、ミロン君と一緒に馬車で待っていてくれるか? ミロン君1人だけだと心細いだろうから」
「ええで、別に」
「悪いな。それじゃあ、なるべく早く戻るから、よろしく頼むよ」――
[V]
六芒星の紋章が描かれたグランマージの黒い玄関扉を開くと、「チャリン、チャリン」という甲高いドアベルが鳴った。
(世界が変わっても、こういうところは同じだな……)
などと思いつつ、俺は店内に足を踏み入れる。
それからゆっくりと扉を閉め、店内に目を向けた。が、しかし……俺はそこで、思わず息を飲んだのである。
(ウッ!)
なぜなら、店内にいる殆どの客は、俺の方へと視線を向けていたからだ。注目の的というやつである。
だが俺を見て興味を失くしたのか、客達は次々と視線を戻してゆく。
そして、動画の再生ボタンを押したかの如く、店内の客達はワイワイガヤガヤと賑やかに
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