Lv35 ラヴァナ・アーウェン商業区
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わないけど、ラティは良いのか?」
「ワイもかまへんで。物流組合はアーウェン商業区やさかいな」
つーわけで、俺はミロン君に言った。
「だって」
「わかりました。では、このまま向かいますね」――
[U]
アリシュナの城塞門を抜けた俺達は、色褪せた石造りの建物が両脇に並ぶ大通りを南に進んで行く。
すると次第に、沢山の荷馬車や人々が行き交う、賑やかな様子が視界に入ってくるようになった。
周囲からは、人々の笑い声や怒声などが、引っ切り無しに聞こえてくる。まだ朝だというのに、ここはもう活気に包まれているのだ。この賑やかさは、流石に王都といったところである。
空に目を向けると、ラティの同僚と思われる鞄を背負ったメイジドラキー達の姿も、頻繁に見掛けるようになってきた。ドラキー達はパタパタと羽根を羽ばたかせながら、縦横無尽に空を駆け巡る。この数を見る限り、ドラキー便の利用者は相当多いのだろう。
考えてみれば、人語を話せる上に渋滞知らずなドラキーは、優秀な郵便配達員である。お誂え向きにも体色が赤なので、郵便屋としてはもってこいの逸材であった。額に〒マークとイシュマリア郵政公社の文字を貼りつけてやりたいところだ。
俺はそんな事を考えながら、喧騒に包まれたラヴァナの街並みを眺める。
と、その時、少し気になる光景が俺の目に飛び込んできたのであった。
(ン……なんだありゃ?)
それは何かと言うと、通りの至る所に、茶色い鎧を着た兵士達がいるという事であった。
しかも、その兵士達は何かを監視するように、通りを行き交う人々へと視線を向けているのである。
(……なんだ、この兵士達は……イシュマリア王家の紋章が描かれた鎧を着ているから、王城の兵士だとは思うが、治安維持部隊か何かか……。にしても、少し大袈裟過ぎる気がする。マルディラントでも、こんな光景見た事ないぞ。……何かあったのだろうか?)
俺はミロン君に訊いてみる事にした。
「ミロン君、ちょっといいかい」
「はい、何でしょう?」
「さっきから、この通り沿いに茶色い鎧の兵士達をよく見かけるけど、王都ってかなり治安が悪いのか?」
「ああ、それの事ですか。あの兵士達は恐らく、ヴァロム様の解放を訴える組織に目を光らせているんだと思いますよ」
「へぇ、そんな組織があるんだ」
もしかすると、反政府組織みたいなモノがあるのかもしれない。
「らしいですね。僕も詳しい事は知らないんですが、なんでも、イシュマリア魔導連盟とかいう組織だそうです。しかも、その組織から抗議の書簡が、王家に届いたそうなんですよ」
「抗議の書簡ねぇ……で、どんな事が書いてあったんだい?」
「それはわかりませんが、ウォーレン様の話によりますと、かなり脅迫めいた事が書かれていたそうです。ですから
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