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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv35 ラヴァナ・アーウェン商業区
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【その辺にしておけ、ボルズ!】

「ああん、誰だ? 俺の名前を呼ぶ奴は」
 スキンヘッド戦士は、声のした方向に視線を向けた。
 俺もそこに視線を向ける。
 すると野次馬達を掻き分け、茶髪の若い男の戦士が1人現れたのである。
 歳は20代後半といったところだろうか。ベリーショートのように短くカットした髪型で、爽やかな雰囲気が漂う男であった。身長も高くて精悍な顔つきなので、かなり女子からモテそうなイケメンである。
 また、鋼の鎧や鉄の盾といったそこそこの重装備をした戦士であり、それらは長い年月愛用されているのか、部分的に少し色褪せていた。
 とまぁそんなわけで、要約すると、かなり修羅場を潜ってそうな、やり手のイケメン戦士がそこに現れたのである。が、しかし……それと同時に、見覚えがある男でもあった。
(あの男……オヴェール湿原で俺が治療した冒険者の1人だ……)
 ふとそんな事を考えていると、スキンヘッドの戦士の驚く声が聞こえてきた。
「ラ、ラッセル!」
「その御仁は、俺の知り合いだ。この場を見た以上、俺も黙って見ているわけにはいかん。即刻、退いてもらおうか、ボルズ」
「グッ……」
 スキンヘッドの戦士は、苦虫を噛み潰したかのように顔を顰めた。
 それから俺を一瞥し、忌々しそうに口を開いたのである。
「こいつ等は、あ、あんたの知り合いか?」
「そうだ。大変世話になった恩人だ。お前がこれ以上続けるならば、俺も手を出さざるを得ん。バルジの弟とはいえ、覚悟してもらうぞ」
 男は腰に帯びた剣の柄に手を掛ける。
 するとそれを見たスキンヘッドの戦士は、渋々、剣を鞘に納めたのである。
「……いいだろう。この場は退いてやる。おい、行くぞ、お前達」
 そして、スキンヘッドの戦士は仲間達と共に、この場から立ち去ったのであった。

 ゴロツキ風の冒険者達がいなくなったところで、周囲にいた野次馬達も霧散し始める。
 それから程なくして、大通りは元の状態へと戻っていった。
 俺はそこでラッセルと呼ばれた戦士の前に行き、礼を言う事にした。
「ありがとうございました。いや〜、お蔭で助かりましたよ。私も対応に困っていたんです」
 男は柔らかい笑みを浮かべ、頭を振る。
「いえ、礼には及びません。貴方には命を救ってもらいました。こんな事では返し足りないくらいです」
「返し足りないだなんて……。そんなに気にしないで下さい。あれは偶然通りがかったからなんですし」
「そうなると、私も偶然通りがかったからという事になりますよ」
「……ですね。まぁこれも何かの縁なのでしょうか。はは」
 俺はポリポリと後頭部をかいた。
 男は微笑む。
「かもしれませんね」
 と、ここで、ミロン君とラティがこちらにやって来た。
「あの、先程はどうもあり
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