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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv33 王都オヴェリウス
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屈託のない笑顔を俺に向けたのである。
 なんか知らんが、俺はサナちゃんにえらく懐かれたようだ。
 長い逃亡生活の中で、気の許せる者と会えたのは俺達くらいらしいので、仕方がないと言えば仕方がないのかもしれない。
 と、そこでアーシャさんが話に入ってきた。
「何をするのか知りませんが、私も手伝いますわよ。王都にあるアレサンドラ家の別邸に着いたら、私もしばらく滞在する事になりますから。というか、貴方は私専属の護衛なのですから、それを忘れて貰っては困りますわ」
「え、あれってまだ正式な決定じゃなかった気が……」
「何を言ってるのです。もう正式に決定しましたわ。私がしたと言ったら、したのです」
 アーシャさんはそう言って、サナちゃんに笑顔を向けた。
 サナちゃんも微笑み返す。
 その瞬間、なぜか知らないが、2人の間に張りつめた空気が漂いだしたのであった。
(えっと……何……この微妙に重い空気……)
 そんな中、KYのラティがログインしてきた。
「ほなワイも、王都に暫くいようかな。コータローと一緒にいると、おもろいし」
「おいおい、ドラキー便はどうすんだよ」
「ああ、それは気にせんでええで。ワイ等の仕事は基本的に、物流組合に出向いて、自分の行きたい配達地域の書簡を選んでるだけやさかいな。配達が終わったらそれで一区切りつくんや」
「ドラキー便て、そういう体制なのか。てっきり担当地区でも決まってるのかと思ったよ」
 ラティの話を要約すると、配達地域は早い者勝ちということなのだろう。
 まぁそれはさておき、俺達がそんなやり取りをしている内に、オヴェリウスの城塞はもう間近に迫るところにまで来ていた。
(色々とあったけど、この旅も終わりか……サナちゃんじゃないけど、少し寂しいかな……)
 アーシャさんはそこで、感慨深くボソリと呟いた。
「長かった旅も、これで終わりですわね。楽しい旅でしたわ」
「ええ、マルディラントを発ってから6日しか経ってないですが、10日以上旅してきたような気分です」
 俺はそう言うと、今まであったイヴェントを感慨深く思い返した。
 サナちゃんも俺と同じ思いなのか、静かに頷いていた。
「本当ですね。色々とありましたけど、無事ここまで来れたのはコータローさんやアーシャさんのお蔭です。ありがとうございました」
「はは、サナちゃん。礼を言うのは早いよ。まだ王都には着いてないからね」
「そうですね。では着いたら、改めてお礼を言わせてもらいます」
 サナちゃんはそう言ってニコリと微笑んだ。
 俺も微笑み返す。
 そして、俺達は、それぞれが色んな思いを胸に秘めながら城塞門を潜り抜け、この旅の終点である王都オヴェリウスへと足を踏み入れたのであった。


   [V]


 王都の中に入った俺達は、ウォーレ
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