Lv33 王都オヴェリウス
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そして、そんな所にやって来た俺は、飛んで火に入る夏の虫って事のようだ。
(ついてないなぁ、俺……まぁいいや、とっとと終わらせてしまおう)
負傷している冒険者達の所にやって来た俺は、まず怪我の確認をする事にした。
すると、2人の脇腹や太腿の辺りに、深い裂傷があるのが目に飛び込んできたのである。
結構出血もしており、早く治療しないと不味い状態であった。
ちなみにその裂傷は、爪や牙で切り裂かれたような感じだ。
これを見る限り、彼等を襲ったのは、鋭い爪や牙を持つ魔物と見て間違いないようである。
(どんな魔物か気になるところだが……今は冒険者達の治療が先だな……)
俺は魔力を左右の手に分散させ、2人同時に治療を始めた。
「ベホイミ」
2人の深い傷は見る見る塞がってゆく。
そして、大きな傷がある程度塞がったところで、俺は治療を終了する事にしたのである。
今必要なのは応急処置であって、完全に治癒させる必要はないからだ。
と、そこで、また中年魔導師の声が聞こえてきた。
「ほう、やるねぇ。ところでアンタ、キアリーは使えるか?」
「ええ、まぁ……」
「じゃあ、向こうで倒れている女性2人を解毒してやってくれ。それと回復もだ。頼んだぞ」
「了解」
とっとと終わらせたい俺は、指示のあった女性達の所へすぐに向かった。
それからキアリーとベホイミの順で、俺は迅速に治療を開始したのである。
程なくして治療を終えた俺は、中年の魔導師の所へ行き、4名の治療結果を報告した。
「終わりましたよ。毒に侵された女性達は、それほど傷も深くないので、もう大丈夫でしょう。ですが、一番最初に治療したあの戦士達は、かなり出血が多かったので、暫くは安静にしてた方がいいですね。まぁとりあえず、そんな感じです」
中年の魔導師はやらかい物腰で返事をした。
「おぅ、終わったか。こっちも終わったところだ。いやぁ、アンタがいて助かったぜ。俺も魔物を追い払うのに結構魔法を使ったもんだから、焦ってたんだ。面倒な事をさせちまったかも知れねぇが、勘弁してくれ」
結構、陽気なオッサンのようだ。
今までは切羽詰まった状況だったから、少々強引な物言いだったのだろう。
それからこの人も、俺と同様、魔導の手を装備していた。
これを装備しているという事は、第1級宮廷魔導師なのかもしれない。
「ああ、気にしないで下さい。ところで、彼等は一体、どんな魔物に襲われていたんですか?」
「ン、襲っていた魔物か。そうだな、4体いたんだが、その内の3体はベギラマを使う大きな肉食の魔獣だった。俺も初めて見る魔物だから上手く説明できんが、姿を簡単に言うと、サーベルウルフに似た魔物だ。ただ、サーベルウルフと違うのは、背中に蝙蝠の様な羽が生えていたのと、足が6本あった事
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