Lv33 王都オヴェリウス
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違いない。
まぁそれはさておき、現場の状況だが、先程の兵士が言ったように、街道には引き千切られた手足や内臓に加え、血生臭い臭気が漂っており、かなり凄惨な様相となっていた。
気を抜くと吐いてしまいそうな光景だ。
(アーシャさん達を連れてこなくて正解だったようだ。これは、女子供の見るものではない)
地に伏せる冒険者達に目を向けると、その内の半数は、もう完全に手の施しようがない状態であった。
残りの者達もかなり重傷であり、2人の魔導師は今、その者達の治療に当たっているところである。
(うわぁ……思ったより、酷い状況だな。この出血量だと、負傷者は傷が治っても絶対安静だろう。だが……問題はそこではない)
と、そこで、レイスさんが口を開いた。
「むぅ……これは酷い。あの者達の装備を見る限り、かなり修羅場を潜りぬけてきた冒険者だと思うが、ここまで手酷くやられるとは……。一体、どんな魔物にやられたのだ……」
そう……今問題なのは、冒険者達の容体も然る事ながら、この惨状を創り出したのは、どんな魔物だったのかという事なのである。
冒険者達の装備は、つい3日前に見たレイスさん達の装備と遜色のない物なので、それがどうしても気になるのであった。
「確かに酷いですね」
(レイスさんの言うとおり、一体、どんな魔物にやられたのやら……ン?)
と、その時、治療している中年の魔導師と俺は目が合ったのである。
すると目が合うや否や、中年の魔導師は俺の方へ向かい、大きな声で話しかけてきたのであった。
「おい、そこのアンタ! 魔導の手を装備してるって事は、かなり腕のある魔法使いと見た。こっちに来て手を貸してくれ!」
俺に話しかけているのだとは思うが、違う可能性もある為、とりあえず、背後を振り返って確認する事にした。
「おい、アンタだ。今後ろ向いた、アマツの民のアンタだよッ!」
俺は自分を指さした。
「俺?」
「そう、アンタだ。早くコッチに来て手を貸してくれッ」
(はぁ……仕方ない。今度から魔導の手は、人目につかないようにしとこう……)
俺はレイスさんに言った。
「それでは、ちょっと行ってきます」
「うむ、頑張ってくれ」
というわけで、俺は凄惨な殺人現場へと向かい、渋々足を踏み入れたのである。
俺が来たところで、中年の魔導師は口を開いた。
「アンタ、回復魔法は使えるか?」
「ええ、まぁそれなりに」
「よかった。じゃあアンタは、馬車の付近で倒れている戦士2名の治療を頼む」
「あの冒険者達ですね。わかりました」
「情けない話だが、俺の弟子は魔力が尽きてしまって、もう魔法がつかえないんだ。おまけに薬草まで尽きてしまってな。だから頼んだぜ」
要するに、今はこの中年の魔導師しか、魔法の使い手がいないのだろう。
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