Lv32 ラティと共に去りぬ
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心配するだろうからね」
「ああ、そういう事か。でもアーシャねぇちゃんは、コータローの事を絶対突っ込んでくると思うで。なんて言っとく?」
「そうだな……じゃあ……1人になって考えたい事があるから、外で散歩してるとでも言っておいてくれ」
「わかったで。ほな、そう言っとくわ。じゃあ、ワイは先に帰るさかい、コータローも、あんま無理したらアカンで」
「ああ、俺も終わり次第、すぐに帰るよ」――
[W]
ラティの姿が見えなくなったところで、俺はラーのオッサンに話しかけた。
「さて、ラーさん。ちょっといいか」
「杖の事か?」
「ああ、杖の事だ。どうするといい? さっきの口振りだと知ってるようだったから、ここはラーさんの指示に従うよ」
「ふむ……。なら、フォカールで隠しておいたらどうだ? それが一番、安全な方法だと思うが」
予想していたとおりの返事が返ってきた。
実を言うと、そう言われるんじゃないかと、薄々思っていたのである。
「まぁ確かに、それが一番安全だな。フォカールで隠すことにするよ。だがその前に、教えてくれ。この杖は一体何なんだ? それと夢見の邪精って初めて聞くけど」
「夢見の邪精とは、憑いた者の中に寄生する性質の悪い精霊の事だ。これに憑かれると、死ぬまで夢を見る事になるから、気を付けた方がいいぞ」
「死ぬまで夢を見るか……最悪だな。ン、でも、あそこで眠っていた騎士の1人は目を覚ましてたぞ」
「ああ、それはな、その杖の力で眠らされていたからだ」
意味が分からんので、俺は訊ねた。
「は? どういう事だ? 夢見の邪精によって眠らされているのなら、目が覚めるのはおかしいんじゃないのか」
「いや、そういう意味で言ったのではない。我が言いたいのは、杖の仕組み上、そうなっているという事だ。その杖はな、夢見の邪精を封じてはあるが、夢見の邪精に自由は与えられていないのだよ」
「夢見の邪精に自由は与えられていない……てことは、使用者の指示に従うって事か?」
「そうだな。それに近いかもしれぬ。一応言っておくと、その杖はな、ある条件の元に邪精の力が解呪されるよう魔物達が作った、いわば拉致や拷問をする為の魔導器なのだよ。邪精はその力を利用されているだけに過ぎないのだ」
「なんだって……これ、そんないわくのある杖なのか」
どうやらこの杖は、思っていたよりも性質の悪い魔導器のようだ。
まぁそれはともかく、とりあえず、解呪の条件も訊いておこう。
「ところで、邪精の力を解呪する条件というのは何なんだ?」
「それはだな、使用した者の魔力か、もしくは命によってのみ解呪がされるという事だ。まぁ要するに、お主があの魔物を倒した事で、あの者達の呪いは解呪されたのだよ」
「なるほどね……騎士が目覚めた理由はそういう事だったの
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