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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv32 ラティと共に去りぬ
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だったのだと思います」
「目が覚める事のない呪いの眠り……この魔物は、そのような恐ろしい事を行なうつもりだったのでございますか。申し訳ありませぬ、フィオナ様。我等が不甲斐ないばかりに……」
 ルッシラは懺悔するように、フィオナに頭を垂れた。
「よいのです、ルッシラ。済んだことを今更言っても仕方がありません。それに相手は得体のしれない魔物……!?」
 と言ったその時、フィオナの脳裏に、またもコータローの言葉が過ぎったのである。
 しかも、無視できない内容だった為、フィオナはそこでルッシラの意見を聞くことにしたのであった。
 フィオナはルッシラに耳打ちする。
「……ルッシラ、貴方に話しておく事があります」
 ルッシラも小声で返した。
「何でございましょう、フィオナ様」
「実は先程、私を助けてくれた方は、去り際にこんな事を言っていたのです。『この建物の外にいる3名の騎士と、この隣にいる2名の女性神官以外は、気を許さない方が良いですよ。誰が敵かわからないですからね』と……。貴方はこの言葉、どう思いますか?」
「誰が敵かわからないですと……まさか、この神殿内に魔物と内通する者がいるとでも」
「さぁ、それは私にもわかりません。それとあの方はこうも言っておりました。魔物が1体でここに来たという事が、その理由だと。ですから、これについて貴方の意見を聞きたいのです」
「魔物が1体でここに来たという事が、その理由……」
 ルッシラはそこで無言になる。
 それから暫しの沈黙の後、ルッシラは静かに口を開いた。
「……真意は測りかねますが、もしかするとその御仁は、フィオナ様を狙うには数が少ないという事を言っているのかもしれませぬ」
「私を狙うには数が少ない?」
「はい。ここにいるのはイシュマリア国の第二王女・フィオナ様であります。その傍らには常に、我ら近衛騎士が護衛に付いております。その事を考えますれば、『幾ら腕に覚えがある魔物とはいえ、警備体制が分からぬ限り、単独で来るなんて事はない』という事を、その御仁は言いたかったのではないでしょうか」
「なるほど、それは十分に考えられます」
 ルッシラは続ける。
「しかも今回は急ぎの沐浴であった為、3名での警備となりました。となると、魔物はその事をどうやって知ったのかということになります。ですから、その御仁が言った『誰が敵かわからない』というのは、そこの事を指摘しているのでは?」
「た、確かに……」
 フィオナは今の話を聞き、戦慄を覚えた。
 またそれと共に、コータローの言っていた意味が、おぼろげながら、わかった気がしたのであった。
(だからコータロー様は、内部の者に気を付けろと仰ったのですね。これからは、もう少し慎重に行動する必要がありそうです……)


   [V]


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