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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv32 ラティと共に去りぬ
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ッシラは思わず息を飲んだのであった。
「こ、これは、魔物ッ! この神聖なる光の泉に、このように醜い魔物が……どうして……」
「私もそれが知りたいのです。貴方はこの魔物をどこかで見た事がありますか?」
「いえ……私も初めて見る魔物にございます。ところでフィオナ様、もしやこの魔物が、黒いローブを着た者だったのでございますか?」
「ええ」
「では、この魔物を倒したのはフィオナ様で?」
 フィオナは頭を振る。
「いいえ、私ではありません。実は、私がこの魔物に襲われそうになっていたところを救ってくれた方がいたのです」
「救ってくれた方ですと……」
 ルッシラは驚きの表情を浮かべ、バルログの亡骸を凝視した。
「この魔物……見たところ、鋭利な刃物によって一撃で仕留められております。一体、何者でございますか? 我等が後手に回った相手を、ここまで無残な姿にするとは、只者ではありませぬ」
 フィオナはそこで、別れ際にあったコータローの言葉が脳裏に過ぎった。

 ―― ああ、それとこれも言っておきます。俺の事は、あまり詮索しないでください。それがお互いの為です。じゃあ、そういうわけで ――

 フィオナはとりあえず、名前等は伏せて話すことにした。
「実は私もそう思って問いかけたのですが、その方は名を告げず、この場を立ち去ったのです。しかし、ルッシラが今言ったように、只者ではありませんでしたね……。優れた腕を持つ魔法の使い手であり、見た事もない武具を用いる戦士でした」
「優れた魔法戦士ですか……という事は、イシュマリア魔導騎士団の精鋭中の精鋭であるパラディンの称号を持つ誰かでしょうか? 魔導騎士団がここに来ているとは聞いてはおりませんが……」
「いえ、我が国の騎士ではありませんでした。もしかすると、冒険者なのかもしれません」
 それを聞き、ルッシラは眉根を寄せた。
「それは誠でございますか、フィオナ様!?」
「ええ、間違いありません」
「なんと……まさか冒険者にも、そのような者がいるとは。しかし、だとすれば、そのような者が、どうしてここにいたのかが気になりますな。ここは、イシュラナの神官と王家の関係者のみに立ち入りが許された神聖なる地です。巡礼者の立ち入りは、固く禁じられておりますので」
 フィオナは頷く。 
「確かに、そこは気になるところです。ですが、既にその方はいないので、もう確認のしようがありません。ですから今は、ここに魔物がいたという、この事実について考える事にしましょう」
「仰る通りです、それが一番の問題にございます。ところでフィオナ様、この魔物の目的は一体何だったのでございますか? やはり、フィオナ様の御命を奪おうと?」
「いえ、この魔物は、私に目覚める事のない呪いの眠りを掛けると言っておりました。ですから、それが目的
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