Lv32 ラティと共に去りぬ
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たのである。
水面にユラユラと浮かぶバルログの遺体は、黒く染まった泉の水と相まって、凄惨な死に様となっていた。
そのあまりの悍ましさに、フィオナは生唾をゴクリと飲み込む。
するとそこで、フィオナの脳裏に、バルログと戦うコータローの姿が蘇ってきたのであった。
(コータロー様……貴方は一体何者なのですか……卓越した魔法の腕に加え、パラディンのように操る魔導の手……そしてあの光の剣……。アマツの民のように見えましたが、貴方はそれらの方々とも少し違う印象を受けました。貴方は一体……)
と、その時である。
向こうの部屋から、大きな声が響き渡ったのであった。
【フィオナ様ァ! 御無事でございますかッ、フィオナ様!】
程なくして声の主はフィオナの前に姿を現した。
現れたのはルッシラと、1人の女性騎士であった。
2人の騎士はフィオナの前で跪く。
まずルッシラが口を開いた。
「ご無事でしたか、フィオナ様」
フィオナは肩の力を抜き、安堵の表情を浮かべた。
「よかった、ルッシラ達も無事だったのですね。私は大丈夫です」
「フィオナ様、申し訳ありません。此度の失態は、全て私の責任でございます。侵入者に眠らされ、フィオナ様を危険に晒すなど、近衛騎士として許されるモノではありませぬ。いかなる罰をも受け入れます」
ルッシラはそう告げると、深く頭を垂れた。
「罰だなんてそんな……。こんなに尽くしてくれる貴方に、なぜ私がそんな事をしなければならないのです」
「しかし……」
「よいのです。さぁ顔を上げてください」
「ハッ」
と、ここでルッシラは、もう1人の騎士に指示を出した。
「イリサ、早くフィオナ様に御召し物を」
「ハッ」
イリサは脇に抱える煌びやかな箱から、美しい水色の衣服を取り出すと、丁寧な所作でフィオナにそれらを着せてゆく。
そして全て着せ終えたところで、イリサは元の位置へと下がった。
フィオナは着心地を確認すると、ルッシラにそれとなく外の事を問いかけてみた。
「ところでルッシラ、外に誰かおりませんでしたか?」
「外にいるのは部下の近衛騎士だけにございます。先程見た限り、他には誰もおりませんでした」
「そうですか……」
(ルッシラ達が見ていないという事は、もうコータロー様はここから立ち去られたのですね。……助けて頂いたお礼をしたかったですが、いないのならば、仕方がありません。今はこれからの事を考える事にしましょう)
フィオナはそこで泉に近寄り、ルッシラを呼んだ。
「ルッシラ、こちらに来てください。貴方に見てもらいたいモノがあります」
「ハッ」
返事をしたルッシラは、キビキビとした動作でフィオナの元へ向かう。
だが、そこに行くや否や、目の前に広がる凄惨な光景を目の当たりにし、ル
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