Lv32 ラティと共に去りぬ
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。何かあったんじゃないかと思って」
「ごめんね、心配かけて」
「それで、何かいい考えが浮かびましたか?」と、アーシャさん。
「そうですね、まぁ色々と」
本当は凄い事件があったが、そんな事は言えるわけないので、爽やかに笑っておこう。
と、ここで、シェーラさんが話に入ってきた。
「でも無事でよかったわ。あまりに遅かったから、実はさっき、様子を見に行こうってなったのよ。ちょうどそこでラティが帰って来たから、やめたんだけどね」
「そ、そうだったんですか」
(危ねぇ……。ラティを先に帰して正解だったようだ)
俺はそこでラティに視線を向ける。
ラティは俺に軽くウインクをした。
「ワイが帰ってきたら、3人共、凄い心配しとったんや。ビックリしたわ。なんも危ない事なかったのにな」
「心配もしますわよ。いつまで経っても帰って来ないのですから」
アーシャさんは頬を膨らまし、ムスッとした表情になる。
怒らせると後が面倒なので、俺は慌ててアーシャさんを宥めた。
「まぁまぁアーシャさん。そんなに怒らないで。俺も次からは気を付けますから」
「それはそうと、明日はまた早いんだから、もうそろそろ寝た方がいいんじゃない? 他の旅人達は皆寝始めてるわよ」
シェーラさんの言葉を聞き、俺は周囲に目を向ける。
すると、広場にいる旅人達の半分くらいは、明日に備えて床に就いている状況であった。
「そうですね。俺達ももう寝るとしますか」
3人はコクリと頷く。
と、その直後、アーシャさんとサナちゃんが俺の両腕に手を回してきたのである。
「じゃあ、コータローさん。私は貴方の左側で寝ますわ」
「じゃあ、私は右側で」とサナちゃん。
「はは、やっぱり」
とまぁそんなわけで、俺は今朝と同様、またもや2人に挟まれる形で、寝る事になったのである。
俺達が横になったところで、ラティの陽気な声が聞こえてきた。
「おお、コータロー、両手に花やがな。ええなぁ。ほなワイは、コータローの腹の上で寝るわ」
「はぁ?」
そして次の瞬間、「よっこらせ」という声と共に、ラティが俺の腹部に飛び乗ってきたのだ。
「ほな、お休み、コータロー」
「ちょっ、ラティもかよ。何、この展開……」
シェーラさんの笑い声が聞こえてくる。
「あはは、コータローさん、大人気ね。それじゃ、お休み、コータローさん」
「お、お休みなさい」
(なんでこうなんるんだ。何かおかしくない。つーか、俺、寝返りうてんやんけ)
などと考えていると、今度はアーシャさんの探るような声が聞こえてきたのである。
「今日のコータローさんって、何かいい香りがしますわね。この香り、どこかで……」
続いてサナちゃんも。
「アーシャさんもそう思いますか。そうなんですよ、いい香りがするんです」
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